2026年10月1日の朝、8人組のアイドルグループtimelesz(タイムレス)が、7人になると決まりました。

所属事務所のSTARTO社(スタート社)が契約を打ち切ったのは、猪俣周杜(読み:いのまた・しゅうと)。

知人女性にけがをさせた傷害の疑いで逮捕され、9月25日に釈放されていた人です。

逮捕からは12日後、釈放からは6日後の発表でした。

 

同じ日のうちに、日本テレビとフジテレビの2局は、timeleszの名前がついたレギュラー番組を、これからも残る7人で続けると相次いで明かしています。

この突然の契約解除を、SNSでこう呼ぶ人がいます。

「トカゲの尻尾切り」

もちろん、傷害の疑いがかけられているのは猪俣周杜本人なのだから、本人が辞めるのは当たり前です。

それでも「トカゲの尻尾切りだ」と言いたくなるのは、切られたのが猪俣周杜ひとりだけで、事務所も番組もほかは全部いつもどおり平然と続いていくように見えるからではないでしょうか。

冠番組2本は7人で続くと決まった

STARTOの発表によると、猪俣周杜との契約を解くと決めたのは2026年9月29日の取締役会で、解除は9月30日付。

理由として書かれていたのは「専属契約上の重大な違反」で、まだ決まっていない刑事の処分とは別に、契約にもとづいて判断した、とありました。

発表文の最後は、被害を受けた女性への過度な取材やネット上での誹謗中傷を控えてほしい、というお願いの一文で結ばれています。

 

テレビ局も、その日のうちに番組の扱いを発表しました。

  • 日本テレビ「timeleszファミリア」(日曜午後2時)=「今後は7人で番組を継続してまいります」
  • フジテレビ「タイムレスマン」=「引き続き放送を継続していきます」

フジテレビの清水賢治社長は、釈放の日だった2026年9月25日の会見で、すでに番組を続ける考えを口にしています。

毎週日曜の昼下がりにファミリアを家族で見てきた人にとっては、番組がなくならなくてよかったと胸をなでおろす知らせですよね。

ただ、契約解除という重い処分と、レギュラー番組の続投という明るい知らせは、10月1日の同じ日にそろって発表されました。

「家族なのに」と書かれた3つの不満

「尻尾切り」と書いた人たちが口にしているのは、こんなことです。

  • 「家族」と言ってきたのに、外れたのは猪俣周杜ひとりだけ
  • オーディションで事務所の外から迎え入れたのに、そのあと事務所がどう育てていたのか分からない
  • 刑事の処分も出ていないのに、先に契約だけ切った

処分を待たずに切ったことには、こんな声もありました。

逆に、逮捕から12日も待たされたことを「判断が遅い」と責める声もあります。

遅すぎると怒る人と、早すぎると戸惑う人。

一見すると正反対の意見ですが、どちらもどんな理由で、どう話し合って決めたのかが外から見えないことに、強く引っかかっているのだと思います。

猪俣周杜のプロフィールと選ばれた経緯

そもそも猪俣周杜は、どんなふうにtimeleszのメンバーになった人なのでしょうか。

  • 誕生日=2001年8月17日
  • 年齢=25歳
  • 出身地=茨城県
  • timeleszの前=地下アイドル「8iper」(2022年11月〜2024年5月)
  • メンバーになった日=2025年2月15日

加入から逮捕までの流れは、こうです。

  • 2024年5月1日 新メンバーを選ぶオーディション「timelesz project」の応募受付が始まる
  • 2025年2月15日 新メンバー5人のひとりに決まる
  • 2026年9月18日 東京・江東区のコンビニの駐車場で、知人女性の顔を殴った疑い
  • 2026年9月19日 逮捕。事務所が謹慎と活動休止を発表
  • 2026年9月25日 処分保留で釈放(起訴するかはまだ決まっていない)

timeleszはもともと「Sexy Zone」という名前の3人組で、2024年に名前を変えてから、Netflixで配信されたオーディション番組(タイプロ)で5人を迎えて8人になりました。

 

審査をしたのは、もとからいた菊池風磨(きくち・ふうま)、佐藤勝利(さとう・しょうり)、松島聡(まつしま・そう)の3人です。

5人のうち橋本将生(はしもと・まさき)、猪俣周杜、篠塚大輝(しのづか・たいき)の3人は、事務所にいた経験がないまま加わった人たちで、ファンからは「ひよこ組」と呼ばれてきました。

猪俣周杜は、審査をしたメンバー3人が配信番組の中で自ら選び、所属事務所のSTARTO社が正式に迎え入れた人。

だからこそ、いざ契約を切るとなったときに、選んだ側(審査をしたメンバーと、迎え入れた事務所)にも何か言ってほしいという声が出てくるんですよね。

「我々に全責任を」と書いた菊池風磨

選んだ側の言葉として、いまもたびたび引き合いに出されるのが、菊池風磨が2024年12月8日にインスタグラムのストーリーズへ書いた一文です。

誰を合格にするかをファン投票で決めてほしい、という声に答えたものでした。

「結局、我々の仲間探しなので。スタッフも含め、カメラが回ってないところでも、直接接しているのは我々でしかないので。我々に全責任を持たせてください」

選ぶ判断はすべて自分たちに任せてほしい、という覚悟を込めた言葉でしたが、その「全責任」という強い言い回しが、ファンの記憶に深く残りました。

いっぽう、2026年10月1日の発表文にはこんな一文があります。

「その最終判断は他のメンバー7名に委ねたものではなく、かつメンバーに処分の責任を負わせるものではありません」

 

2024年12月、新メンバーを選ぶときに、重い言葉で責任を引き受けると書いたのは菊池風磨でした。

それに対して今回、契約を切るときにメンバーには責任を負わせないと文書で線を引いたのは、事務所です。

残された7人を守るための書き方なのでしょうが、その発表文の中に、そもそも猪俣周杜をオーディションで選んだことについての言葉は見当たりません。

田中聖のときも理由はひと言だった

STARTO社は、旧ジャニーズ事務所のタレントのマネジメントを引き継いだ会社です。

その旧ジャニーズ事務所の時代にも、メンバーが契約を解かれた前例があります。

2013年10月9日、当時のジャニーズ事務所は、KAT-TUNの田中聖(たなか・こうき)との専属契約を9月30日付で解除したと発表しました。

理由として出たのは「度重なる事務所のルール違反行為」というひと言だけ。

KAT-TUNは、そのあと残る4人で活動を続けました。

当時の事務所が副業として認めていなかったバーの経営などにかかわっていたことが理由だったと報じられたのは、公式発表のあとのことです。

 

今回の「重大な違反」も、何が違反だったのかは書かれていません。

傷害の疑いそのもののことなのか、それとは別に何かあったのかも、発表文からは読み取れないまま。

重大な違反の中身が一切書かれていない以上、「何かを隠して、ひとりに背負わせたのでは」と勘ぐる人が出てくるのも無理はありません。

グループごと終わらせたTOKIO

「尻尾切り」の声の中には、矛先を残った7人に向けたものもありました。

グループごと終わらせた例なら実際にあって、2025年6月25日、TOKIOはメンバーの国分太一のコンプライアンス違反が明らかになったあと、「再び信頼をいただくことは難しい」として解散を発表しています。

TOKIOのメンバーは2021年から自前で「株式会社TOKIO」を持っていて、雇われタレントとは違い、グループの行き先を自分たちで決められる経営の立場にいたのです。

 

同じTOKIOでも、2018年に山口達也が強制わいせつの疑いで書類送検されたときは、メンバーが自分たちで決められる立場にはいませんでした。

ほかのメンバー4人は5月2日にそろって記者会見を開きましたが、5月6日に山口達也との契約を解除したのは当時の事務所で、グループはそのあと4人で続きました。

いまのtimeleszの残された7人も、このときの山口達也を除くTOKIOの4人と同じで、契約を切るかどうかを決める立場にはいません。

もしこの解除を「尻尾切り」と呼ぶのであれば、切ったのは現場で活動する残された7人ではなく、取締役会で契約解除を決めた事務所のほうですよね。

ファンは「当然」と「8人の未来」で割れた

まだ契約解除が知らされていなかった2026年9月30日には、「#timelesz8人の未来をもう一度」というハッシュタグで、猪俣周杜の戻る場所を願う投稿が広がっていたんです。

いっぽうで、このタグに反対するファンもいました。

傷害の疑いをかけられているのは猪俣周杜本人なのに、何もしていないほかのメンバーが人前で頭を下げている。

けがをした被害者の女性がいることを忘れないで、という真っ当な声です。

 

翌朝の発表には、「これは仕方がない」「企業として真っ当な判断」と受け止める人がいて、7人で番組が続くことにお礼を言う人もいます。

そのうえで心配されているのが、「ひよこ組」で残った橋本将生と篠塚大輝のことです。

SNSで「尻尾切りだ」と怒りをぶつけたファンの中には、オーディションから見守ってきた8人の物語を心から好きだった人も少なくないはずです。

ファン以外からは「使い方が違う」

経済誌の東洋経済オンラインは2026年9月25日の記事で、オーディション番組が盛り上がった分、審査員の菊池風磨たちまで責められるのは理不尽ではないか、と書いていました。

ネットには、言葉の使い方そのものにツッコミを入れる人もいます。

1人がやらかしたら全員脱退なんてことにはならないし、連帯責任のほうがよほどおかしい、という声もあります。

それでも、選んだ側からは何の言葉もないまま、ひとりだけを外して番組が続いていくのですから、「トカゲの尻尾切り」と呼びたくなるのも無理はありませんよね。