あの泉ピン子が、映画の舞台挨拶での言動をめぐって訴えられました。

2026年11月3日の午前1時すぎ、映画製作会社のHumanPicturesが、東京地方裁判所へ訴えを起こしたとXで発表しています。

長年テレビで見てきた人の名前だけに、思わず二度見してしまいますよね。

 

訴えた会社の代表は、作家で映画監督の寺西一浩。

ネットには「寺西って誰?」と首をかしげる声も並びました。

けれど調べてみると、この二人は、ここ2年ほど何度も一緒に作品を作ってきた間柄だったのです。


会社が問題にした言動

発表文によると、会社が問題にしているのは次の3つ。

  • 客席に向けて「ババア」などと言った
  • 登壇をめぐって「帰る」「出ない」「一緒に並ばない」「私は大ベテランなのよ」と言った
  • 作品そのものを軽んじるような言動があった

そして、登壇をめぐるやり取りの末に、ある登壇者が土下座をするに至ったとも書かれています。

会社はこれらを「パワーハラスメントに当たり得る重大な行為」と受け止めている、とのこと。

来場した人やメディア関係者から抗議が多く寄せられ、その場を見ていた複数の人から陳述書も届いたとあります。

専門家も交えて社内で話し合い、「単なる個人間の問題として処理すべきものではない」と判断して裁判に踏み切った、という流れです。

 

舞台の上の様子は、取材に来ていたネットメディアが10月27日に動画で公開していました。

ただ、発表文に並んでいるのは、どれも訴えた側の言い分です。

土下座をしたのが誰なのか、発表文に名前はありません。

いくらの支払いを求めているのかも書かれていませんでした。

そして11月3日の午前の時点で、泉ピン子の側からの説明は、報道でもまだ確認されていません。


当日の記事に土下座はない

10月23日は、寺西一浩が手がけた3本の映画が、動画配信サービスで同時に公開された日でした。

舞台挨拶はその公開を記念して池袋の新文芸坐で開かれ、泉ピン子は出演した『養父』と、特別出演した『AYUMI』の回に登壇しています。

その日の夜には、中日スポーツが舞台挨拶の様子を記事にしました。

記事によると、泉ピン子は『AYUMI』について「訳わかんない映画に集まっていただいて。ストーリー全然わかんない」と話し、自分の役については「何の役やった?」と問いかけたそうです。

この日はちょうど、巨人の新監督に松井秀喜が就任すると報じられた日で、報道陣には「こんなことやってる場合じゃない。明日、松井で1面だから」と言い放ったとのこと。

 

『養父』の舞台挨拶では、俳優を目指す子役に「やめた方がいい」と声をかけたとも伝えられています。

記事の見出しは「ピン子節さく裂!」。

毒舌のベテランが場をさらった、という伝え方で、「ババア」という言葉も、土下座の話も、この記事には出てきません。

主催した会社のXも、その夜は舞台挨拶に来てくれた人へのお礼を投稿し、出演者たちが「喜んでました!」と書いていました。

同じ舞台なのに、当日の記事と11日後の発表文では、まるで別の出来事のように見えます。


寺西一浩って誰?

訴えた側の寺西一浩は、作家として世に出て、のちに映画やドラマの監督も手がけるようになった人です。

  • 生まれ:1979年10月2日・愛知県名古屋市
  • 学歴:慶應義塾大学法学部
  • 仕事:作家・映画監督・プロデューサー
  • 会社:HumanPictures(寺西一浩事務所)の代表

作家としてデビューしたのは、大学に通っていたころでした。

  • 2002年:大学在学中に『ありがとう眞紀子さん』で作家デビュー
  • 2004年:24歳で音楽会社の社長になり、島倉千代子の仕事に関わる
  • 2012年:映画『女優』で監督デビュー
  • 2025年:参議院選挙に参政党の比例代表で立候補し、落選
  • 2026年:監督・脚本を手がけた『養父』『AYUMI』を公開

寺西一浩の映画やドラマで主演に立つことが多いのは、歌手で俳優の寺西優真。

名字は同じですが、二人が家族なのかどうかは、公表されている情報からは確かめられませんでした。

『養父』も寺西優真の主演作で、出演者の欄には泉ピン子の名前が並んでいます。

そして、寺西優真の相手役として寺西一浩が何度も呼んできたのが、泉ピン子でした。


2年続けて主演に呼んだ人

二人の仕事は、2025年の夏から途切れずに続いています。

  • 2025年8月:寺西優真と泉ピン子のデュエット曲「マツリ」を発売(泉ピン子には35年ぶりの新曲)
  • 2025年9月:BSフジのドラマ『SPELL』第4章で、寺西優真と泉ピン子がダブル主演
  • 2026年6月:『養父』の演技で、泉ピン子がアメリカの映画賞の最優秀助演女優賞を受けたと報じられる
  • 2026年7月:『SPELL』第5章で、ふたたびダブル主演
  • 2026年10月:『養父』公開、そして舞台挨拶

ドラマと映画の監督・脚本は、どれも寺西一浩です。

2026年6月には、『SPELL』第5章の話題として「寺西優真、泉ピン子に『あーん』」という見出しの記事まで出ていました。

記事の写真には、寺西優真と泉ピン子を含む3人が、そろって笑顔で並んでいます。

 

つまり今回の相手は、ふだん縁のない大物ではありません。

自分のドラマで2年続けて主演を任せ、映画では賞まで受けたと報じられた人を、会社が訴えたことになります。

長く一緒に仕事をしてきた相手だからこそ、「なぜ話し合いではなく裁判なのか」が気になってしまいますよね。


訴えるまでの10日間

会社が訴えを起こしたのは舞台挨拶の10日後で、発表はその翌日の未明です。

  • 10月23日(金)昼:舞台挨拶。同じ日に3本の映画を配信開始
  • 10月23日 夜:会社のXが、舞台挨拶に来た人へのお礼を投稿
  • 10月27日:3本がU-NEXTでも見られるようになったと告知。夜には取材したネットメディアが舞台挨拶の動画を公開
  • 10月28日:会社のXが、その動画記事を「#問題」「#侮辱」「#謝罪」「#パワハラ」のタグを付けて紹介
  • 10月29〜30日:映画や主題歌を紹介する投稿が続く
  • 11月2日:東京地方裁判所に訴えを起こす(会社の発表による)
  • 11月3日 午前1時23分:訴えたことをXで発表

目を引くのは、10月28日の投稿。

訴えを起こす5日前には、会社が自分のアカウントで「#侮辱」「#パワハラ」というタグを付けていたことになります。

 

ネットには「訴えた側も何か下心が見えるよな」「炎上商法だな」と書き込む人も。

ただ、それを裏づける材料は、いまのところ見当たりません。

会社は発表文で、舞台挨拶のあとに抗議や意見が多く届き、聞き取りや当日の記録の確認、専門家との話し合いを重ねたと説明しています。

10日という時間は、その手続きにかかった時間だと読むこともできるでしょう。

当日の夜の「喜んでました!」から、5日後の「#パワハラ」までのあいだに何があったのかは、発表文には書かれていません。


映像に映らなかった場面

11月3日の朝には、舞台の動画の切り抜きと会社の発表を並べた投稿が広がりました。

晴れの舞台で、俳優を目指す子役にまで「やめた方がいい」と言ったと聞けば、ひやりとする気持ちはよく分かります。

テレビの中では長く笑いとして受け止められてきた毒舌も、チケットを買って作品を応援しに来た人や若い共演者に向いたとなると、受け取られ方は変わってくるはずです。

ただ、会社の発表のうち、土下座にまで至ったという登壇をめぐるやり取りは、舞台の上を撮った映像からは分かりません。

  • 「私は大ベテランなのよ」は、どんな場面で出た言葉だったのか?
  • 土下座をしたのは誰で、どんなやり取りのあとだったのか?

どちらも、泉ピン子の側の言葉と、裁判に出てくる記録を待つしかなさそうですね。