ソロデビュー曲を歌い終えて涙ぐむFRUITS ZIPPERの仲川瑠夏のまわりに、メンバーが駆け寄っていく。

2026年9月18日に公開された『THE FIRST TAKE』の、いちばん最後の場面。

その輪の中で同じメンバーの月足天音ひとりだけが省かれているように見えた、という投稿が、9月24日の午後から一気に広がりました。

「女社会」という言葉まで付き、夜には、前からささやかれていた二人の不仲説に「理由」を付けた噂も回りはじめています。

9月26日の夜には、事務所が「憶測・根拠のない情報」に基づく投稿をやめてほしいというお願いを出しました。

その10分後には、仲川瑠夏が体調不良で『NHKのど自慢』を欠席することも伝えられ、27日の生放送は6人で迎えています。

あの場面には、本当は何が映っていたのか。

その「理由」の噂は、どこから来たのか。

今回は、あの短い動画に映っていたものと噂の出どころ、そして事務所のお願いの中身を、わかりやすく解説していきたいと思います。


「省かれた」と言われた場面

推しのお祝いの場面で、誰かひとりだけが輪の外にいるように見えたら、胸がざわっとしますよね。

FRUITS ZIPPERは、所属事務所ASOBISYSTEMのアイドルプロジェクト「KAWAII LAB.」から2022年4月にデビューした、7人組の女性アイドルグループです。

仲川瑠夏の愛称は「るなぴ」で、担当の色は紫。

月足天音の愛称は「あまねき」で、担当の色は赤です。

 

広がった動画の元になったのは、一発撮りで歌を届けるYouTubeの番組『THE FIRST TAKE』。

白いスタジオでマイクに向かい、やり直しのきかない一度きりの歌を録る番組。

その回で、仲川瑠夏はソロデビューをサプライズで発表し、デビュー曲「朝にならないで」を初めて歌いました。

翌日には配信も始まり、この曲がドラマ『まめとむぎ』のエンディングに決まったことも報じられています。

グループの活動と並行して、ソロでも本格的に歌っていくという知らせ。

歌のあとには、見守っていたメンバーが登場して、ソロの第一歩を全員で祝ったと報じられています。

音楽ナタリーの記事の見出しは、「メンバーが涙の祝福」。

 

その祝福の場面を切り出した30秒あまりの動画を、9月24日の15時21分、あるファンが紫と赤のハートで二人を指しながら載せました。

同じ動画はその日の夜、別の人の投稿にもそのまま使われます。

そこで付いたのが、「こっわ」という一言。

翌朝には、SNSのトレンドの見出しにまで、この話が並んでいました。


同じ場面に真逆の感想

ところが、同じ場面を見て、まったく逆のことを書いたファンもいたんです。

「こっわ」の一言が広がる少し前、同じ日の夕方に、はじめての推し活がFRUITS ZIPPERだというファンの投稿。

同じ場面の月足天音の顔が、こちらには「お母さん」のような笑顔に見えていたことになります。

動画を最初に載せた投稿の返信欄にも、「ライブでは絡んでますけどね」と書いた人がいました。

同じ日に同じ場面を見て、ここまで分かれるものなんですね。

 

では、どうして「省かれた」ように見えてしまうのか。

月足天音は2025年の夏に体調不良で休養に入り、9月に活動へ戻ってきましたが、ファンのあいだでは、その復帰のあとから二人が並ぶ場面がめっきり減った、とずっと言われ続けています。

  • ラジオで組まない
  • TikTokを二人で撮らない
  • ライブのトークでもあまり話さない

休養の前は二人でよく動画を撮っていたのを覚えていると、その差はどうしても目に入ってしまう。

Xでも、仲川瑠夏の投稿に月足天音の名前が出てくるのは、2025年7月28日が最後です。

返信(リプ)の数を、年ごとに数えた人もいます。

「芦田調べ」と断ってある数字ですが、2025年の3回と2026年の0回は、こちらで二人のXをたどった結果とも合っていました。

いっぽうで、2023年は0回、2024年は1回。

休養に入るよりずっと前から、返信でやりとりしない年のほうが多かったことになります。

二人のXの記録を実際にたどった結果は、こちらにまとめました。

紫の衣装で横を見つめる仲川瑠夏と、背後でひそひそ話す人たちを描いた色鉛筆風のイラスト
仲川瑠夏は性格が悪い?ふるっぱー紫が嫌われてしまった理由FRUITS ZIPPERの仲川瑠夏のXで、同じメンバーの月足天音の名前が最後に出てくるのは、2025年7月28日の投稿です。 「月足の...

ただ、動画に映っているのは、あくまで誰がどこに立っていたかまで。

そのとき二人が何を思っていたかは、映像のどこにも映っていません。


ステージとオフの差

「ライブでは仲良く見えるのに」と、首をかしげていた人も多いと思います。

その引っかかりにひとつの見方を出した投稿が、9月26日の夜に回ってきました。

ライブのステージでメンバーが顔を寄せて笑い合う動画に、別の人が「仲悪いとか小グループに分かれてるとか言われてるグループです」と添えた投稿を、引用したものです。

書いたのは、アイドルの仕事に関わっていたと名乗る人でした。

ステージの上なら気持ちの高ぶりで取りつくろえても、オフに近い空気で撮る告知の動画では態度に出る人がいる、という見立て。

 

この話に当てはめると、ファンが挙げてきた「ラジオで組まない」「TikTokを二人で撮らない」は、どちらもステージの外の仕事です。

反対に、「ライブでは絡んでますけどね」と書いた人が見ていたのはステージの上でした。

二つの感想は、同じ二人の別々の場所を見ていたと考えると、食い違いにも筋が通ります。

 

ただ、名乗っている経歴は、外からは確かめようがありません。

「運営に問題がある女性アイドルグループあるある」という結びも、FRUITS ZIPPERの内側を見て書かれたものではない。

返信欄には、「どこでもあるんじゃない?」「3人集まれば派閥ができる」と、アイドルに限った話ではないと返す声もありました。

「四六時中動画を回されれば気が抜けて本音も出る」と書いたうえで、「必ずしもいじめだとは思わない」と続けた人もいます。

 

楽屋や移動中の顔まで動画で届くのは、ファンにとってはうれしいことのはず。

そのぶん、ステージでは見えなかった距離まで、手元に届いてしまうんですね。


1年答えのない「なぜ」

いちばん知りたいのは、結局「なぜ」ですよね。

公式に出ている事実は、この5つ。

  • 2025年6月ごろ:月足天音が体調不良でイベントを欠席しはじめる
  • 2025年7月28日:事務所が「引き続き一定期間の休養が必要」と発表し、8月2日・3日の3周年ライブも欠席
  • 2025年9月10日:活動再開を発表(13日のイベントから復帰)
  • 2026年2月1日:グループ初の東京ドーム公演
  • 2026年9月18日:仲川瑠夏がソロデビューを発表

休養を続けると伝えた発表文には、本人とほかのメンバー6人で話し合って決めたことが、「本人をはじめ、メンバー6人および関係者と慎重に協議を重ねてまいりました」と書かれています。

その3周年ライブについては、「FRUITS ZIPPERメンバー一同、月足天音の想いも胸に、心を込めてパフォーマンスさせて頂きます」とも書かれていました。

活動再開のお知らせには、最後に小さな注意書きが1つ。

「撮影・収録等のスケジュールの都合により、今後発表される一部の作品には不参加の場合がございます」。

二人の場面が減った理由とまでは言えませんが、復帰の時点で、事務所は「月足天音がいない作品もある」と先に断っていたわけです。

 

ただ、二人の仲について書かれた一行は、公式の文面のどこにもありません。

だから「なぜ」には、復帰からの1年、ずっと答えが無いままです。

ネットの質問サイトには、月足天音が活動に戻って間もないころから、同じ「なぜ」が何度も上がっています。

  • 2025年10月21日:「今不仲だと言われているのは何故でしょうか?」
  • 2026年2月:「なんの理由で不仲になってしまってるのですか?」
  • 2026年5月:「何がきっかけで不仲になったんですか?顔に出てるのが丸見えで正直見てて辛いです」

どの質問にも、事務所や本人からの答えが付かないまま、次の質問が重なっていきました。

質問の言い方は変わっても、聞きたいことは1年間ずっとひとつだけです。

 

そして9月24日の22時58分、動画が広がった夜に、その「なぜ」に答えるような書き込みが現れます。

ある人の投稿への返信として書かれた、仲川瑠夏の家族まで巻き込んだ噂。

返信先の投稿は、休養明けの月足天音についての短い感想で、理由には何も触れていません。

書き込んだのも、グループとの関わりが見えない一般のアカウント。

 

その書き込みは9月25日の午後には消えていて、いま開くと「このページは存在しません」と表示されます。

消される前の画面は、こうなっていました。

噂を書いた返信投稿の画面。アカウント名と人の名前の部分は伏せている

すでに消えた投稿より(アカウント名と、人の名前の部分は伏せています)。

書き込みは、「らしくて」「だって」で結ばれていました。

誰から聞いたのか、どこに書いてあったのかは、どこにもありません。

噂の中身を裏づける発表も、新聞やスポーツ紙の報道も、出ていないまま。

それなのに、あとから書き足された返信が、返信先を追い越して広く読まれていきました。

動画が広がった翌朝には、こんな投稿も。

1年ぶんの「なぜ」が積もっていたから、出どころのない噂でも答えに見えてしまったんです。


運営のお願いと本人の言葉

動画を最初に載せた投稿にあった「運営もなんでだんまりなの?」という一言には、うなずきたくなりますよね。

その運営が文面を出したのは、動画が広がってから2日後の、9月26日の19時50分でした。

題は「FRUITS ZIPPERに対する迷惑行為に関するお願い」。

SNSで「事実と異なる内容による批判や、憶測・根拠のない情報に基づく投稿」と、その拡散が多数見受けられる、と書かれています。

行き過ぎた悪質な行為には、「警察への相談や発信者情報開示請求を含め、法的措置を講じる場合がございます」とも。

 

その10分後、グループの公式Xが、仲川瑠夏の体調不良を伝えました。

9月27日に出演予定だった『NHKのど自慢』を欠席し、「明日は6人で精一杯パフォーマンスをさせていただきます」。

前の晩の愛知公演でも、仲川瑠夏は体調不良で「一部のみの出演」になっています。

その夜のステージで何があったかは、こちらでたどりました。

紫の衣装で横を見つめる仲川瑠夏と、背後でひそひそ話す人たちを描いた色鉛筆風のイラスト
仲川瑠夏は性格が悪い?ふるっぱー紫が嫌われてしまった理由FRUITS ZIPPERの仲川瑠夏のXで、同じメンバーの月足天音の名前が最後に出てくるのは、2025年7月28日の投稿です。 「月足の...

 

27日の昼、6人は予定どおり生放送のステージに立ち、「はちゃめちゃわちゃライフ!」を歌っています。

見ていたファンからは、こんな投稿も上がりました。

ただ、迷惑行為についてのお願いには、「不仲」という言葉も、メンバーの名前も出てきません。

体調不良と噂を結びつける一行も、どちらの文面にもありませんでした。

「不仲ではない」とも「不仲だ」とも書かず、憶測で本人を追い詰めないでほしい、という一点だけが書かれていたわけです。

 

27日の夜になっても、本人たちの投稿に噂へ触れたものは見当たりません。

その沈黙を、答えのように受け取った人もいます。

のど自慢の欠席が伝えられてから、31分後の投稿でした。

否定しないことが、そのまま認めたことになるわけではありません。

体調不良の中身も、公式の文面には書かれていないままです。

 

ただ、あの場面について本人が自分で書いた言葉なら、残っています。

番組が公開された日の夜、仲川瑠夏はデビュー曲を告知しました。

添えた言葉は、「メンバーのみんなも見守ってくれて本当に心強くてほんとだいすきの気持ち」。

日付が変わってすぐに、こう続けています。

名前は誰ひとり出てこず、「メンバー」「みんな」とだけ。

ここに月足天音も入っていると読めますが、名前が無いことが気になってしまう気持ちも、分かる気がしますね。

 

同じ日に公開された音楽サイト「THE FIRST TIMES」のインタビューでは、ソロの準備をしながら「ひとりでいることが怖くて、メンバーが一緒にいてくれるってすごく安心感があることだったんだと気づきました」と話していました。

正直に言うと、こうした言葉は仲の良さの証明にも、不仲の証拠にもなりません。

ただ、あの場面について本人が書いたのは「支えられてる」「喜んでくれる」という言葉だった、というのは事実です。


次の切り抜きを見る前に

グループが続くかぎり、似たような短い動画は、これからも何度か回ってくると思います。

そのたびに胸がざわついてしまうのは、推している側なら、ごく当たり前のこと。

次に似たような短い動画が回ってきたとき、確かめられることは三つあります。

  • 映っているのは「したこと」か「しなかったこと」か
  • 同じ場面を、別の人はどう書いているか
  • 理由を書いた文の終わりが「らしい」「だって」になっていないか

今回の動画に当てはめると、一つ目は「駆け寄らなかった」、二つ目は「お母さんみたいな顔」、三つ目は「らしくて」「だって」に当たるわけです。

三つ目の「らしい」「だって」は、書いた人自身も確かめていない話を伝えるときの言い方。

9月26日の事務所のお願いも、書き込むことだけでなく、そうした投稿を広げることまで挙げていました。

元の動画は、YouTubeの『THE FIRST TAKE』のチャンネルで、いまも最初から最後まで通して見られます。

 

省かれているように見えた、という感じ方まで、間違いだとは思いません。

ファンが1年かけて感じてきた二人の距離そのものは、本物。

それでも、出どころのない噂に、家族まで巻き込んでいい理由はありません。

のど自慢を終えた27日の夕方、月足天音はこう書いています。

放送のあとにグループの公式Xが出したお礼には、メンバーの色のハートが7つ並んでいました。

その日はいなかった紫のハートも、ちゃんとその中に入っています。

7人そろって「ありがとうございました!」と言える日が、早く戻ってきてほしいですね。