「パロディアカウント」と表示されたXのアカウントが、すとぷりのさとみの名前で、すとぷりのファン(すとりす)に向けて「#すとりす滅びろ」と書いた画面が回っています。

投稿は2026年10月21日の夜で、さとみがすとぷりからの卒業を発表した3日後でした。

その卒業の夜、本物のさとみが自分のXに書いていたのは、こんな言葉です。

「滅びろ」と書いたのは、さとみ本人ではありません。

画面を見た人からは「どゆことですか???」「なりすましってことですか?」という声が次々に上がっています。

あの投稿には何が書かれていたのか、「パロディ」と表示されていれば許されるのか、そしてさとみの側が訴えたら勝てるのか。


「成敗してやる」の中身

すとぷりは、動画や生配信から人気が広がった6人組の歌い手グループで、10月18日にさとみとリーダーのななもりがそろって卒業を発表したばかりです。

いれいす(イレギュラーダイス)は、それとは別の歌い手グループ。

ファンのあいだでは、すとぷりのファンを「すとりす」、いれいすのファンを「いれりす」と呼んでいます。

 

そのうえで投稿を読むと、見出しは【売られた喧嘩買ってやるよ】。

すとりすに向かって、いれいすを批判しておいて喧嘩を売ってきているのか、と絡むところから始まります。

続けて、自分のことを「白馬の王子」と呼び、本文に本物のさとみのアカウントへの宛名(@から始まる名前)まで入れて、すとりすに「お前を成敗してやるよ!」。

その横には「(今回はちゃんとさとみを選びました✨)」という添え書きも。

最後は「覚悟しとけよ、すとりす。」「お前らの民度なんて、いれりす以下だ」と書き、「#すとりす滅びろ」のハッシュタグで締めくくっていました。

つまり、さとみ本人が自分のファンを叱りつけているように見える形で書かれていたわけです。

 

アカウントの名前は「さとみ」に一語を足しただけのもので、アイコンはピンクの髪の青年のイラスト。

名前の下には「パロディアカウント」という小さな表示があり、プロフィールには「推し活インフルエンサー」とありました。

撮られた画面には鍵のマークも付いていて、フォローしている人しか投稿を見られない状態です。

出回っている画面は、それを見られる人が撮ったもの。

 

さきほどの「今回は」は、前回、つまり卒業が発表された夜の取り違えを踏まえた言葉とみられます。

その夜、同じアカウントは卒業を知らせる投稿をしていて、載せた画像が別のグループのメンバーだったと、見た人たちから指摘されていました。

卒業の知らせのあと、こんな言葉を書いていた人もいます。

こういう気持ちを抱えたまま過ごしていたところへ、「滅びろ」の画面が回ってきたんです。

さとみが卒業を決めた理由と、11か月前に口にしていた言葉は、こちらにまとめました。

王冠をかぶったピンク髪の青年が、花びらの舞う夕暮れのバルコニーで手を差し出しているイラスト
「すとぷり」さとみはなぜ卒業?11か月前に口にしていた本当の理由「すとぷりのさとみでした。」 2026年10月18日の18時半、さとみが自分のXに出した卒業の発表文は、この一行で結ばれていました。 そ...


パロディの札で許される?

Xのルールでは、他人になりすまして人をだますことは禁止されていて、パロディや解説、ファンのためのアカウントだけが、議論や風刺、情報の共有を目的とする場合に、条件つきで認められています。

2025年4月に改められたXの「信頼性」のルールが挙げている条件は次の4つで、すべてを満たさなければなりません。

  • パロディであることを示すラベルを付ける
  • 本人と同じアイコン画像を使わない
  • アカウント名の先頭に「パロディ」「フェイク」「ファン」「解説」などの言葉を入れる
  • 自己紹介にも「パロディ」「偽」「ファン」「解説」などの言葉を入れる

出回っている画面で満たしていると確かめられるのは、1つ目のラベルだけ。

名前は「パロディ」で始まっていませんし、自己紹介の欄にもそれらしい言葉は見当たりませんでした。

ただ、2つ目のアイコンについては、本人のアイコンと同じ画像かどうかを画面から判断することはできません。

 

しかも、ラベルそのものは設定画面のスイッチひとつで付けられます。

ラベルは「パロディです」と名乗る札で、何を書いてもいいという許可証ではありません。

名前を使われた本人の側は、自分で打ち消すしかないこともあります。

2026年9月には、ある小説家が、自分の名前をもじったパロディアカウントについてこう書いていました。

さとみが「最高のリスナー」と呼んだ人たちへ、さとみの名前で「滅びろ」と書くことを、風刺と呼べるのかどうか。


喧嘩を売ったのは誰か

そもそも、この投稿にはおかしなところがあります。

「売られた喧嘩」と書いているのに、すとりすがいつ、どこで、いれいすの何を批判したのかは、どこにも示されていないんです。

しかも、すとりすを責める一文の中で、「お前らの民度なんて、いれりす以下だ」と、いれりすを『民度が低いもの』のたとえに使っています。

いれいすの側に立っているように見えて、いれりすのことも下げているわけです。

 

この投稿の中で喧嘩を売っているのも、それを買っているのも、同じひとつのアカウント。

つまり、すとりすといれりすのあいだに喧嘩があるように見える画面を、ひとりでこしらえた、と言ったほうが近いかもしれません。

そして、こういう画面がやっかいなのは、本物の喧嘩に火がつきやすいところです。

すとりすが怒って「いれりすは〜」と言い返せば、その一言は、いれりすの側から見れば本当に売られた喧嘩になってしまいます。

卒業の翌日には、いれいすとは別の、すとぷりと同じ会社に所属する後輩グループに矛先を向ける声に対して、こう書いた人もいました。


訴えたら勝てるのか

返信や引用に並んでいたのは、「訴訟起こしたら勝てますよね」「訴えられたら完璧に負けるで」という声。

すとぷりの運営会社STPRは、これまでに少なくとも2回、すとぷりのイラストを使った加工画像などを投稿していた人に、お金を支払ってもらう形で決着をつけています。

  • 2024年11月 すとぷりのロゴやイラストを使って加工した画像や、虚偽の画像を繰り返し投稿していた10代の男性と、示談金100万円で示談が成立したと発表
  • 2025年11月 複数のアカウントを使ってすとぷりのイラストを加工した画像や、所属クリエイターに関する虚偽の情報を含む画像を投稿していた10代の男性と、150万円の支払いを含む和解が成立したと発表

どちらもネットカルチャーのニュースサイト・KAI-YOUが伝えた内容で、2025年11月の発表では、誹謗中傷や虚偽の情報の拡散には引き続き厳正に対応していく、とも述べていたそうです。

ただし、この2件は加工画像や虚偽の画像の件で、今回のような名前を使ったなりすましとは形が違います。

訴えるかどうかを決めるのは名前を使われたさとみ本人と会社の側で、どこまで認められるかも、外からは判断できません。

10月22日の朝の時点で、さとみ本人のXに、この件に触れた投稿は見当たらない状態です。

 

見ている側にできることもあります。

Xのルールでは、なりすましだと思うアカウントは、名前を使われた本人でなくても、そのアカウントのプロフィールから直接報告できる決まりです。

報告を受けたXは、ルールに違反していると判断すれば、そのアカウントを凍結するか、違反を直すよう求めるとしています。

いっぽうで、同じアカウントを何度も報告したり、大勢で示し合わせて報告を送ったりすることは、同じルールの中で禁じられている行為です。

返信欄にも「これはもう何も反応せずに通報した方が良い」と書いた人がいました。

報告は1人1回で足り、引用で怒りをぶつければ、そのぶん画面を広めることにもなりかねません。

 

そして何より、すとりすにとって、いまはまだ、さとみとななもりにさよならを言っている途中。

ほかのメンバーを推している人(「他担」)からも、こんな声が出ていました。

腹立たしい画面のせいで、さよならを言う時間まで削られてしまうのは、あまりに悔しいことですね。