寝る前にXを開いて、見るつもりのなかった言い合いをひと通り読んでしまい、少しぐったりして画面を閉じる。

そんな夜が、前より増えた気がしませんか。

2026年10月16日の夜、俳優の高畑充希のXのアカウントが、ちょっとした話題に。

プロフィールの「顔のパーツが全部まるです」という一文に首をかしげた投稿がきっかけです。

ところがアカウントを開いた人たちが目にしたのは、10年前の2016年10月3日で止まったままの画面でした。

最後の投稿は「Twitterをやめます」。

翌17日には「10年前にTwitterやめて正解だった」「先見の明ありすぎじゃない?」と書く人まで出てきました。

でも高畑充希は、すべてをやめたわけではないんです。


10年前の「さようなら!」

2016年10月1日、高畑充希がヒロインを務めたNHKの朝ドラ『とと姉ちゃん』が最終回を迎えました。

その2日後の10月3日の夜、まず共演者とスタッフへのお礼を投稿しています。

現場の仲の良さを「エッヘンと見せつけたいくらい」の、素晴らしいチームだったという晴れやかな内容です。

そして1分後に出したのが、この投稿でした。

やめる理由にあたる言葉は、「私の掌から情報がこぼれ落ちだしてしまって」の一文だけ。

当時「明確な理由は明かさず」という見出しで伝えたのは、エンタメサイトのクランクイン!

その後に本人がくわしく理由を語ったものも、確かめた範囲では見つかりませんでした。

 

同じ日の夕方には、朝ドラのあとに出る映画を紹介する投稿もしています。

数時間前まで、いつもの宣伝をしていたということ。

突然の知らせに、ファンからは「充希ちゃんロス」と寂しがる声が上がったと、モデルプレスが伝えています。

最終回の2日後、ヒロインを終えたその週のうちに、本人の手でTwitterは閉じられたのでした。


止まったままのプロフィール

不思議なのは、高畑充希のアカウントが消されていないことです。

いまも開くと、白い襟の服で目を丸くした顔のアイコンと、「顔のパーツが全部まるです。」の一文、そしてファンクラブ「MIKKAI」の案内が並んでいます。

アカウントを始めたのは2012年10月で、最後の投稿は2016年10月3日の「Twitterをやめます」のままです。

 

このプロフィールは、いつから同じなのか。

Twitterをやめると発表したその夜に、ファンの一人が記念に投稿した画像がこちらです。

画像のアイコンの写真も、書き添えられたプロフィールの文も、いまの画面と変わりません。

やめると決めても、アカウントを消すことはしなかった。

店を閉めたあとも、看板だけが通りに残っている状態に近いかもしれません。

 

そのあいだに、Twitterは2023年7月に名前をXへ変えました。

「Twitterをやめます」という言葉は、いまでは少し懐かしい響きになっています。

それでも画面の中では、2016年10月3日の夜がそのまま続いているわけです。

10年たってその画面を見つけた人の中には、「Twitterはほんとにドロドロしてる!」と書く人もいれば、やめた高畑充希を指して「早くこれになりたい」とだけ書く人もいました。


4年後の「毒は吐きます」

Twitterをやめたあと、高畑充希がネットの言葉について自分から長く書いた文章があるんです。

2020年5月29日にInstagramへ載せた投稿で、1枚目の写真のあとに、文字だけの画像が続いていました。

誹謗中傷について考えていることがつづられているのは、指でめくった2枚目からです。

出典:高畑充希(@mitsuki_takahata)のInstagram(2020年5月29日の投稿)

文字の画像から、本人の言葉をいくつか引きます。

  • 「私も時々、誹謗中傷を受けます」
  • 「道を歩いていて、急に通り魔に刺されたような」
  • 「何かしらの媒体を通して作られた自分に対するものだから」
  • 「そしてその解釈がこちらの本意とすれ違っていても、反論が出来ないから」

顔の見えない相手から言葉を投げられ、言い返すこともできない。

その状況を、高畑充希は「まったくフェアではないのです」と書いていました。

2枚目の終わりには、気付きの一文も。

「あ、沢山の人に知ってもらえるようになったタイミングと、急に刃物が飛んできだしたタイミングって一緒だ!と。」

 

4枚目では、話が自分の毒のことへ。

「ただ、そんな私も勿論、毒は吐きます。笑」

「でも、友達だったり、家族と話す中で。」

「わざわざネットに書いたり、会った事ない人のアカウントに攻撃しに行ったりはしない。」

言葉の刃を向けられたときは「この人には他愛もない毒を話せる親しい人すら居ないのか…」と、切ない気持ちになるとも。

本人はこれを「必殺・哀れみの術」と名付けています。

毒を吐く相手は、友達や家族と決めているということです。


先見の明の正体

10年たって「先見の明」と言われると、Xが疲れる場所になることを、2016年の時点で見抜いていたように聞こえますよね。

10月16日には、表示回数かせぎ(インプ稼ぎ)の投稿に疲れたという声も上がっていました。

ただ、10年前に書かれた「私の掌から情報がこぼれ落ちだしてしまって」という一文は、Twitterがこの先どうなるかには触れていません。

書かれているのは、自分の手元から何かがこぼれていく感覚です。

 

2020年の投稿にあった「沢山の人に知ってもらえるようになったタイミング」がいつだったのかは、書かれていません。

いっぽうでTwitterをやめたのは、朝ドラのヒロインを務めた2016年の、最終回の2日後でした。

2016年にやめた理由と、2020年に書いた怖さが同じものだったかどうかは、本人にしか分かりません。

それでも、やめた時期と、4年後に書いた言葉を並べると、見抜いていたのはXの行く末ではなく、自分の言葉がどこまで届いてしまうかだったように、私には見えます。

そして10月17日には、その「Twitterをやめます」の投稿が引用されて、Xで広く読まれていきました。

本人が10年前に手放した場所で、本人の言葉が、いまも読まれ続けていることになります。


やめなくても選べる場所

とはいえ、推し活の情報がXでしか追えない人にとって、「やめる」はそう簡単ではないですよね。

高畑充希がやめたこと、続けていること、決めていることは、この3つです。

  • Twitterへの投稿はやめた。ただしアカウントは消していない
  • 写真と言葉を自分で選んで出せるInstagramは続けている
  • 毒は、友達や家族と話す中で吐く

いまもInstagramは続いていて、2026年10月にもディオールのショーにまつわる写真を載せています。

 

2020年の長い文章も、最後の1枚は「ほんとにいつも、ありがとね!!」という、フォロワーへのお礼でした。

その1枚前には、「〝好き!〟のエネルギーを、毎度言葉にして伝えてくれるフォロワーの皆さん」とも書いています。

10月16日には、Xにもファンの「好き!」が書かれていました。

ファンの「好き!」を受け取る場所として、Instagramは手元に残してあるんです。

10年前の高畑充希が「やめて正解」に見えるのは、毒の置き場所を自分で決めていたからなのかもしれませんね。