星野源と新垣結衣の夫婦に第1子が生まれたと、2人の連名で報告が出たのは2026年10月13日のことでした。

お祝いの言葉が並んだのはほんの1日ほどで、翌日からXには「星野源が昔から嫌いだった」という投稿が目立ち始めます。

掘り起こされたのは、2014年のエッセイの下ネタ、2020年に安倍晋三首相(当時)へ向けた一文、2024年の紅白の曲の差し替えと、何年も前の話ばかりでした。

もともと好きではなかった人が、「だから嫌いだったのか」と腑に落ちて、前よりもっと嫌いになった、という声が目立っています。

たとえば次の投稿にある「コメント」は、2020年に安倍首相の動画について、星野源がインスタグラムに書いた一文のことです。

ただ、ここまではっきり言える人ばかりではなく、好きになれない理由をうまく言葉にできないまま何年も過ごしてきた人も、きっとたくさんいるでしょう。

「爽やかな人」として持ち上げられ続けた星野源の、いったい何が、そんなに引っかかっていたのでしょうか。

星野源のプロフィール

星野源
引用元:星野源 オフィシャルサイト
  • 1981年1月28日生まれ・埼玉県出身・45歳・所属はアミューズ
  • 2000年に歌のないインストゥルメンタルバンドSAKEROCKを結成(2015年に解散)・2010年にソロデビュー
  • 2012年12月にくも膜下出血で倒れ、2013年の再手術を経て2014年2月に日本武道館で復帰
  • 2016年の「恋」とドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で国民的な人気へ
  • エッセイ集『蘇る変態』『いのちの車窓から』など文筆の仕事も多数
  • 2016年3月から2026年3月まで、ニッポン放送の深夜ラジオ『星野源のオールナイトニッポン』のパーソナリティ
  • 2021年5月19日に新垣結衣との結婚を発表・2026年10月13日に第1子の誕生を報告

星野源本人も、Xで次のように第1子の報告を投稿していました。

「蘇る変態」に書かれていたこと

今回、話題にのぼったのが、2014年に出たエッセイ集『蘇る変態』です。

ファッション誌での3年分の連載に、くも膜下出血の闘病の記録を加えた本で、エロ話と闘病が同じ調子で書かれた一冊でした。

2019年9月に文庫版が出たとき、女性週刊誌の週刊女性は、元の本とくらべて100か所以上が直されていたと、出版関係者の話として報じています。

週刊女性の記事が「文庫で消えた」として挙げた箇所には、たとえば次のような中身がありました。

  • 闘病中、看護師に座薬を入れられた場面で、昔行った風俗店で言われたひと言を思い出す話
  • 「ぽっちゃり」の例にグラビアアイドルの篠崎愛の名前を挙げ、「16歳あたりの」と年齢まで添えたくだり
  • 舞台で共演した女優2人の実名を挙げ、「疲れすぎて逆に、股間は元気だ」と書いて「どうぞ見てやってくれ」と呼びかける一節
  • スポーツニュースの女性アナウンサーを見て「ここ三日間で抱かれたか否か」を考える話

文庫版では、篠崎愛のくだりが丸ごと消え、女優2人の名前は「稽古場の皆さん」に置きかえられ、一人称も「俺」から「私」に変わっていたと、同じ記事は伝えています。

 

好きではない人がとくに嫌な気分になるのは、下ネタの量そのものより、実在の女性の名前が下ネタの材料にされていたことです。

2016年に始まった『星野源のオールナイトニッポン』も、長いあいだ下ネタの多い番組として知られていました。

2017年6月の週刊女性によると、神戸のコンサートでは、参加したファンの話として、子どものファンに「今は耳をふさいでおいてください」と前置きして、引退したAV女優の話をしたといいます。

子どもも来ている客席で、耳をふさがせてまで話したいことだったのか、と感じる人がいても無理はありません。

 

一方で、ファンの中には、人の考えは年月とともに変わるものだ、と受け止める人もいて、たとえばこんな投稿があります。

下ネタをめぐっては、公式が謝ったことも過去にありました。

2017年1月5日には、2010年から翌年にかけて公式Xに投稿されていた性的なつぶやきが掘り起こされ、公式がスタッフ名義で「お騒がせして申し訳ありません」と謝っています。

「ばかくん」というキャラクターが星野源のことを勝手につぶやく企画で、当時のスタッフが書いていたもの、という説明でした。

人は変わるとしても、好きではない人の手元に残ったのは、書いたものが文庫でいつの間にか直されていたという事実だけです。

安倍コメントの「事後も含めて一切」

2020年4月12日、新型コロナで外出の自粛が呼びかけられていたころ、安倍晋三首相(当時)が、星野源の「うちで踊ろう」に合わせて自宅でくつろぐ動画を投稿しました。

「うちで踊ろう」は、星野源が自分の弾き語りの動画に演奏やダンスを重ねてほしいと呼びかけ、たくさんの人が自由に重ねて楽しんでいた曲です。

犬を膝に乗せ、カップを手にくつろぐ首相の姿には、休業の補償もないのにと批判が集まり、そのさなかに星野源は自身のインスタグラムでこう書きました。

ひとつだけ。安倍晋三さんが上げられた“うちで踊ろう”の動画ですが、これまで様々な動画をアップして下さっている沢山の皆さんと同じ様に、僕自身にも所属事務所にも事前連絡や確認は、事後も含めて一切ありません。

このとき批判の多くは、まず首相のほうへ向かっていました。

星野源本人にも批判が向き始めたのは、2日後の4月14日のラジオからです。

星野源はこの放送で、一般論として、見た人を不快にさせたり怒りをあおったりするものは論外だ、という内容の話をしています。

写真週刊誌のFRIDAYによれば、これを首相への当てこすりだと受け取った人から、「何様のつもりだ」という声が上がりました。

 

今回この一文がもう一度出回ったとき、好きではない人が反応したのは、書いてある中身よりも書き方でした。

「確認はなかった」で止めずに、わざわざ「事後も含めて」とまで書き足したところが、名前を出した安倍首相をきっぱり突き放しているように聞こえます。

言葉を仕事にしている人の一語だからこそ、余計に引っかかるところです。

紅白の曲を5日前に差し替えた件

2024年12月23日、第75回紅白歌合戦で星野源が歌う曲は「地獄でなぜ悪い」と発表されました。

この曲は2013年の映画『地獄でなぜ悪い』の主題歌で、監督は、のちに週刊誌で性加害の疑いを報じられた園子温。

星野源自身も、この映画に役者として出ていました。

発表の直後から、被害を訴えた人をさらに傷つける「二次加害」ではないか、という批判が一気に広がります。

12月26日、星野源は公式サイトで曲を変えると発表しました。

「地獄でなぜ悪い」は闘病中に病院で書いた曲で、紅白の制作チームから「苦しい時代を生きる方々を勇気づけてほしい」と頼まれたものだった、と説明しています。

曲は、デビューアルバムに入っている「ばらばら」の弾き語りに差し替えられました。

 

声明は、曲を「星野源の中から生まれた、星野源の歌です」と言い切る一方で、二次加害にあたるという指摘には「その可能性を完全に否定することはできません」と書いています。

声明の中で星野源は「星野」と呼ばれていて、監督の名前は出さずに「のちに性加害疑惑を報道された人物」とだけ書かれていました。

報じられた声明の中に、お詫びの言葉はありません。

自分の曲ははっきり守り、批判にはぼかして返した、と読まれても仕方のない文面です。

園子温監督の性加害の疑いを週刊誌が報じたのは2022年で、紅白の曲が発表された2024年12月には、もう広く知られた話でした。

批判が来てから下ろすくらいなら、最初から選ばなければよかったと受け止めた人もいて、Xには紅白の件も含めて「覚悟のない人間」とまで書く投稿もありました。

なぜここまで人気なのか分からない

過去の話とは別に、「そもそも、なぜこんなに人気なのか分からない」という声も、今回あちこちで上がりました。

自分には地味に見えるのに、周りは「すごい」「素敵」と言い続ける。

乗れない人ほど、その持ち上げられ方を見て、ひとり取り残された気持ちになっていきます。

 

星野源をかばう側からは、同じ事務所の桑田佳祐や福山雅治の名前を挙げて、なぜ星野源だけが責められるのかと言い返す声も上がりました。

たしかに週刊女性も2017年に、同じアミューズの先輩2人を「下ネタ好きで有名」と書き、星野源の下ネタはもう2人を超えているという雑誌編集者の声まで載せています。

それでも星野源にだけ厳しい目が向くのは、爽やかで知的な、いい人というイメージで売り出されていたからでしょう。

深夜ラジオを聴いていた人には下ネタ好きの人、テレビで知った人には爽やかで知的な人。

この2つの顔が大きくちがっていることに、理由もなく嫌いだった人は、ずっと違和感を持っていたのかもしれません。

 

今回も、「ずっとうっすら嫌いで、直感的に気持ち悪さを感じていた」と打ち明ける人もいます。

その人が引っかかっていたのは、すごくポップで、良い人ですよという感じそのものでした。

ファンの側からも、その好青年のイメージを疑う声が出ています。

ファンの目にも、あの好青年の顔は世間があとから作ったものに映っているわけです。

「理由なく嫌い」のセンサーが拾っていたもの

今回、星野源が嫌いだった理由がやっと分かったという人は、自分の中のセンサーがずっと反応していた、と書いていました。

そのセンサーが反応していたものの手がかりは、世間が星野源を広く知るきっかけになったドラマの役にあります。

2016年10月から12月まで放送された『逃げるは恥だが役に立つ』で星野源が演じた津崎平匡は、「彼女いない歴35年」で、自分を「プロの独身」と呼ぶ会社員でした。

星野源のもともとの姿を、こんなふうに言い表した投稿もあります。

冴えない独身の男が言う下ネタなら、モテない自分を笑う話として、笑って聞き流しやすいものです。

 

ところが『逃げ恥』のあとの星野源には、2017年からカップ麺やビールやボディソープ、2018年からは携帯電話と、大きな会社のCMが続きました。

2021年5月には、ドラマで契約結婚の相手を演じた新垣結衣と、本当に結婚しています。

冴えない男の側にいたはずの人が、いつのまにか、人気女優と結婚する、選ばれる側の男になっていたのです。

そうなると、実在の女優やアナウンサーの名前を出した下ネタは、もう自分を笑う話には聞こえず、上の立場から女性を品定めしているように聞こえてきます。

文庫版の『蘇る変態』が大きく直されたのも、その人気の真っただ中の2019年9月でした。

読まれている文章は2014年のままでも、書いた人の立つ場所が変わると、同じ下ネタが別の話に聞こえてしまう。

理由なく嫌いだった人のセンサーが最初に拾っていたのは、このずれだったのでしょう。

ガッキーは知っていて結婚したのか

新垣結衣を心配する声も、少なくありませんでした。

『蘇る変態』が出たのは2014年で、2人が『逃げ恥』で共演したのは2016年。

エッセイもラジオの下ネタも、2人が出会うより前から、誰でも読んだり聴いたりできるところにありました。

新垣結衣がそのどこまでを知っていたのかは、本人たちにしか分かりません。

 

2022年6月の女性自身は、結婚したあとのラジオで下ネタが前より減ったと伝え、星野源が「さすがに独身時代よりはね。もう僕だけの問題ではないから」と話していたと、音楽関係者の話として報じています。

それなら、エッセイで実名を出された女優たちのことも、本当は最初から「僕だけの問題」ではなかったはずです。

新垣結衣を心配する声があがるのは、星野源が家族ができてやっと「僕だけの問題ではない」と口にしたように見えるからなのでしょう。

「嫌い」と言うだけで叩かれる空気

「一体どこが良いのか分からないけど、批判すると信者にめっちゃ叩かれそうで怖い」という声もありました。

実際、今回の掘り起こしには「子供が生まれたタイミングでこれは、さすがに悪意しかない」という言葉も返ってきています。

ファンがここまで身構える理由のひとつは、2024年に出た不倫の噂でした。

2024年5月、星野源のことだと受け取られたその噂がXで広まり、所属事務所のアミューズは事実を否定して、法的措置を検討すると発表しました。

 

その数日後のラジオには新垣結衣が電話で出て、「私たちもなんでこんなことが起きているのか、私たちが一番分からない」と話しています。

噂を流した投稿はその年の9月に削除され、投稿した人は謝りました。

出産の直後だったこともあり、ファンの目には、また一斉に叩かれ始めたと映っています。

 

ただ、2024年の話は本人と事務所が否定した噂で、今回掘り起こされたものの多くは、星野源が自分で書き、自分で話してきたことでした。

本人が書いたものを読んで「この人とは合わない」と感じるのは、悪意で叩くのとは別のことです。

 

しかも、2019年の『蘇る変態』は文庫で書き直され、2024年の紅白の曲は、本人を「星野」と呼ぶ声明で取り下げられました。

どちらも、星野源が「僕」として自分の言葉で語る形にはなっていません。

星野源が嫌いだった人が引っかかっていたのは、下ネタそのものより、言葉を仕事にしている人なのに、自分の書いた言葉の後始末だけがいつまでも見えてこないところなのだと思います。