GMO熊谷社長は承認欲求の塊?サイコパスとまで言われてしまう理由
2026年10月27日の夜から28日の朝にかけて、GMOインターネットグループの熊谷正寿代表のXに、「この社長、ヤバくない?」という声が集まり続けました。
グループのサービスが攻撃を受け、利用者1人分の個人情報だとするものがネットに出された、まさにその日の夜のことです。
笑顔の自撮り、GMOの返信を引用してひと言皮肉っただけの人への「刑事告訴」、そして陸上部を心配する声への「爆笑」。
一晩のうちに、社長本人が出した投稿が、次から次へと燃えていきました。
【悲報】GMO社長の熊谷正寿さん、GMOのリプライを引用しただけのX民まで「ポストを消さないと刑事告訴する」と謎宣言
ハッカーの攻勢で完全に冷静さを失う— 滝沢ガレソ (@tkzwgrs) 2026年10月28日
返信欄や引用には「承認欲求が勝っている」「#サイコパス?」とまで書く人が現れ、社員への同情まで冷めてきたという声も出ています。
本当に「承認欲求の塊」なのか、なぜ「サイコパス」とまで言われてしまうのか、そしてなぜ誰も投稿を止められないのか。
その後、熊谷社長は10月29日にXで笑顔の写真について謝り、11月2日には3時間を超える記者会見を開いて、Xを「一定期間」休むと話しました。
ただ、謝ったあとも写真は消されず、会見ではまた別の言葉が広まっています。
笑顔の自撮りとインターポール
10月27日の夜11時すぎ、熊谷社長が出した投稿に、まず火がつきました。
警視庁が捜査を始めたというニュースを引いて、国際刑事警察機構(インターポール=各国の警察をつなぐ国際組織)にも相談したと書いたものです。
日本だけではありません「国際刑事警察機構INTERPOL」にも相談済みです。
【速報】GMO不正アクセス問題、警視庁が捜査
#47NEWS @47news_officialより
— 熊谷正寿【GMO】 (@m_kumagai) 2026年10月27日
投稿には、水色の旗とインターポールのロゴの前で、腕をいっぱいに伸ばして撮った満面の笑みの自撮りが添えられています。
この日の正午には、GMOのサービスを攻撃したハッカーが「被害者 第1号」と題して、利用者1人分の個人情報だとするページをネットに出していました。
狙われたのは、「お名前.com デスクトップクラウド」というサービス。
FX(外国のお金を売り買いして利益を狙う取引)を、ネット上で借りたパソコンに自動で続けさせるサービスです。
GMOが10月21日にサービスを止めて不正アクセスが明るみに出たあと、借りたパソコンから取引口座が勝手に動かされ、お金を失った利用者も出ています。
ハッカーはGMOにお金を求めていて、払わなければ毎日正午に順に個人情報を出していくと予告しています。
事件解決してないのに、笑顔の写真をアップする意味あるのですか?
— プーアル (@sVzgfxHhtX26987) 2026年10月27日
読んだ人には、名前を出された人がいるその夜に、社長がカメラへ向かって笑っているように見えました。
ハッカーのページが何を書き、何を求めていたのかは、こちらの記事で読み解いています。
皮肉の引用にも「刑事告訴」
その21分後、熊谷社長は次の投稿を出します。
この日の夜、GMOの公式アカウントは、ハッカーのページの画面を載せたある投稿へ、「翌朝10時までに消してください」と返信していました。
別の人がその返信を引用し、「GMOが嫌われる理由が詰まってて素敵。」とひと言添えたところ、熊谷社長がその人に向けて書いたのがこれです。
指定の時間までに削除されないと刑事告訴をいたします。
本気です。
遊び半分で被害者の情報を拡散することは許しません。
— 熊谷正寿【GMO】 (@m_kumagai) 2026年10月27日
ところが、名指しされた人の投稿に載っていたのは、GMOの公式アカウントの返信だけでした。
熊谷社長の投稿には、引用先はGMO公式の注意喚起で被害者の情報を広めたものではない、という補足(コミュニティノート=ほかの利用者が付ける注釈)まで付いています。
名指しされた本人も、すぐにこう返しました(RPは、ほかの人の投稿を引用して広めることです)。
すいません、確認ですが僕RPしてるのはGMOインターネットグループのポストですが、このポストに被害者の情報はあるのでしょうか?
何か僕が見落としてたら申し訳ないのですが教えてください。
判断のために指定の時間の1時間前までにお答え頂きたいです。
@GMOGroup— こぴぺたん (@c_a_p_engineer) 2026年10月27日
しかも社長が引用したことで、もとは皮肉の一言だった相手の投稿まで、かえってさらに多くの人に見られてしまいました。
では、本当に被害者の情報を広めた人なら、刑事告訴できるのでしょうか。
法律事務所の解説によると、流れてきた個人情報を広めただけの人を罰する刑法の決まりは無く、刑事で問われるのは、悪口を添えて相手の評判を傷つけた場合の名誉毀損罪などに限られます。
多くは、削除やお金での償いを求める民事(裁判で争う話)になるそうです。
2024年6月のサイバー攻撃で、動画サイト「ニコニコ」の運営会社などから情報が流出したKADOKAWAも、削除の要請や投稿した人を割り出す手続き、刑事告訴の準備を進めましたが、どれも会社として発表したものでした。
GMOの場合は、トップが自分のXで、名前を挙げた一人に向けて、期限つきで突きつけたかたちです。
「涙」の投稿と「ほとんどデタラメ」
日付が変わった28日の0時すぎ、熊谷社長はもう1本、長めの投稿を出しています。
引用したのは日本経済新聞の記者の投稿で、流れてきた個人情報をSNSでひけらかす人たちの問題を訴えたものでした。
熊谷社長は「激しく同感です」と応じ、名前を出された人の家族の、小さなお子さんの情報まで広めるなど「人として有り得ません」と怒りを書き、こう続けています。
「本日、幹部がご家族の元に謝罪しにお伺いしましたが、報告を聞いて涙が止まりませんでした。」
ただ、この投稿で熊谷社長は、謝りに行った家族が実在することと、その家族に小さな子どもがいることまで、ハッカーのページを見ていない人にまで伝えてしまっていました。
それまでネットでは、ハッカーが出したページの中身が本物なのか作り物なのか、見方が割れていたんです。
いや「情報の真偽が分からない」ことが唯一の救いだったのに存在確定させてどうすんねん
こんなしょうもないやってるアピールのために被害者に追撃すんな
こんなんがトップならゴミクソセキュリティも納得— ymmmm (@ymhs94457) 2026年10月28日
「なんで幹部に行かせるの?」「熊谷さんあなたが謝罪に行ってくださいよ」という声も並んでいます。
満面の笑みの自撮りから「涙が止まりませんでした」の投稿までは、わずか50分のことです。
熊谷社長は守りたい人のために書いたはずなのに、その人たちがいちばん知られたくないことまで、自分の投稿で外へ出してしまいました。
ところが、名前を出された人自身は、その前に口を開いています。
27日の夜、報道各社がまとめて行う代表取材に応じたその人は、書かれていることは「ほとんどデタラメです」と話しました。
集英社オンラインによると、公開された情報の大部分は事実と違い、GMOのサービスも一度も使ったことがないと答え、一部の情報だけは認めたそうです。
晒された本人は報道関係者に事実無根と否定しているのに、貴方が肯定してどうするねん…
— しちゃん (@Darutti30) 2026年10月28日
名前を出された人と熊谷社長の話は、こう食い違っています。
- 名前を出された人=GMOのサービスは使ったことがない・中身はほとんどデタラメ
- 熊谷社長=幹部がその家族のもとへ謝罪に行った
サービスを使ったことがない人の情報が、なぜGMOから持ち出されたとされるページに載り、なぜGMOの幹部が謝りに行ったのか。
利用者の家族や知り合いとして情報が入っていたのか、ハッカーが別のところから集めて混ぜたのかは、GMOが28日の昼までに出したお知らせには書かれていません。
本人が「デタラメ」と打ち消した直後に、会社のトップが「謝罪に伺った」と書いてしまったので、本人の「デタラメ」という言葉は、どうしても信じてもらいにくくなりました。
駅伝の心配に「爆笑」
そして28日の朝8時すぎ、熊谷社長はまた別の投稿で注目を集めます。
GMOの陸上部は、2026年元日のニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝)で初めて優勝したチームです。
駅伝の話題を発信しているアカウントが「今回のGMOの件相当ヤバいと思う」「今後この状況が続くようだと陸上部も危なそう」と書いたところ、熊谷社長がそれを引用して、こう返しました。
爆笑
陸上部には何の影響も無し。
選手達の士気は寧ろ高まっていると報告を受けてるよ。
— 熊谷正寿【GMO】 (@m_kumagai) 2026年10月28日
中身だけを読めば、陸上部は大丈夫だから心配しないで、という話です。
けれど、読んだ人はみんな、冒頭の「爆笑」のほうに目が行ってしまいました。
このアカウントは誰かに乗っ取られているんじゃないか?苦しんでいる人を出していて爆笑とは正常な判断能力がなくなっているのではないか?
— 山田さん (@cdsbq5) 2026年10月28日
しかもこの朝は、ハッカーが予告していた2人目の公開時刻、正午の4時間前のことです。
名前を出された人の家族がいて、FXの口座でお金を失った利用者がいる中で、トップが「笑う」という言葉を選んだのを見て、「事の重さが分かっていない」と受け止めた人たちがいました。
その13分後、熊谷社長はもう1本、東京大学で講義をしてきたという投稿を出しています。
いや、お約束通りきちんと講義してきましたよ🎤😊
#東大 #東京大学
— 熊谷正寿【GMO】 (@m_kumagai) 2026年10月28日
1枚目は、「東京大学教養学部」と彫られた門柱の横で、傘を差して歯を見せて笑う自撮りでした。
前の晩のインターポールの写真に続いて、笑顔の写真はこれで2枚目です。
謝ったのは笑顔だけ
翌29日の朝8時半ごろ、熊谷社長はXに長い投稿を出しています。
見出しは【御礼】【中間報告】【お詫び】の順でした。
最初に、情報が広まるのを止めようと動いてくれた人たちへのお礼があり、次に、犯人につながる有力な情報を手に入れたので、その日のうちに警察へ出すという報告が続きます。
お詫びが出てくるのは、そのあとです。
熊谷社長は、写真の笑顔を「不謹慎」と言われたことについて、「ご指摘はもっともであり、被害者の皆様のお気持ちへの配慮が不足しておりました」と謝りました。
そして最後に、カッコでくくった一文を添えています。
「犯人に対して脅迫に屈しない姿勢を示す意図から、写真は当面の間、そのまま掲載いたします」
GMO熊谷社長、不謹慎な笑顔を謝罪していて、「まぁ、そうなるわな」と思っていて読んでいたら、最後のカッコの中が期待を裏切らなさすぎて横転。やっぱこいつすげーわ。ミスターXすぎる。
— お侍さん (@ZanEngineer) 2026年10月29日
笑顔を謝る言葉と、その笑顔を残しておく理由が、同じ投稿の中に並んでいたのです。
しかも、このお詫びで取り上げられたのは写真のことだけでした。
皮肉を書いただけの人に向けた「刑事告訴」も、家族のことまで書いた投稿も、駅伝の「爆笑」も、お詫びの中には出てきません。
そのあとも、熊谷社長のXは止まりませんでした。
11月2日の朝まで、犯人捜しに手を貸す人たちへ「ご協力心から感謝申し上げます」と返し続け、「誰でも犯人特定に参加できる」とうたう地図を作った人にも、同じ言葉でお礼を書いています。
熊谷正寿のプロフィール

- 名前=熊谷正寿(くまがい・まさとし)
- 生まれ=1963年7月17日・長野県
- 肩書き=GMOインターネットグループ 代表取締役グループ代表 会長兼社長執行役員・CEO
- 最終学歴=國學院高校を2年の夏に中退
- 起業=1991年、27歳で前身の「ボイスメディア」を設立
- 著書=『一冊の手帳で夢は必ずかなう』(2004年)ほか
ドメインを取る「お名前.com」や、ネット銀行、決済など、生活のあちこちで使われているネットのサービスを束ねるグループを、ゼロから育てた創業者です。
20歳の頃に人生の夢を紙に書き出した話が有名で、その手帳術の本は海外でも出版されました。
そしてもうひとつ、熊谷社長は経営の判断を、自分のXに自分の言葉で書く人でもあります。
2026年7月には、在宅勤務を勧めるのをやめた理由を「データ上時間当りのPCタイピング数は確実に減少」と書いて大きな反発を受け、短い言葉を意識するXだったせいで説明が足りなかったと謝ったこともありました。
グループで情報漏えいが続いたあと、10月15日に社員の前で「2度目はない」と約束してから、この騒ぎが始まるまでの流れは、こちらの記事で。
「承認欲求の塊」と言われる下地
熊谷社長のXのプロフィールには、ヘリと飛行機のパイロット、大型バイク、一級船舶、レスキューダイバーの資格が並んでいます。
続く趣味の欄は、DJ・ワイン・スキー・アート・着物と並び、最後の1つがこれです。
「そして笑顔を見ること」
アカウントを作ったのは2009年5月で、それから出した投稿は35万件を超えました。
熊谷社長が自分の言葉を広げているのは、Xだけではありません。
GMOは2024年12月から、熊谷社長の考え方をもとに質問へ答える社内向けのAI「AI 熊谷正寿」を社員に使わせていて、2025年9月には、そのAIを人型のロボットに載せた「ヒューマノイド 熊谷正寿」まで発表しています。
社長がいない場所でも、社長の考え方で答える分身まで、GMOは用意しているわけです。
自分に酔っているね。自分が世界の中心だと思っている痛すぎるピエロ。
被害者の気持ちより、承認欲求が勝っている様子。無能すぎる。。。— ビッグコイン•セイバー (@uGhbLhxvWK66549) 2026年10月27日
17年で35万件の投稿を出し、AIとロボットの分身まで作ってきた熊谷社長は、自分の顔と言葉を、それだけ多くの場所に出し続けてきた、ということになります。
そして、プロフィールに趣味は「笑顔を見ること」と書いている社長が、あの夜にXへ載せたのは、自分の笑顔の写真でした。
「サイコパス」とまで言われる3つの引っかかり
サイコパスは、もともと心理学や精神医学で使われる言葉で、他人の痛みを感じにくく、平然と人を傷つけてしまう性格の傾向のことを言います。
ネットでこの言葉を書いた人たちの投稿を読むと、引っかかっていたのは次の3つです。
- 人の痛みが分からないように見える=被害者がいる夜の笑顔・駅伝の心配への「爆笑」・家族のことまで書いた投稿
- 注目を集めたいように見える=35万件を超える投稿・自撮り・AIとロボットにまで広げた自分の分身
- わざと強く出ているように見える=ひと言皮肉った人への「刑事告訴」と「本気です」・犯人につながる情報に、ハッカーが求めたのと同じ100万ドル(約1億5,000万円)を出した懸賞金
ただ、1つ目については、そうとも言い切れない話もあります。
熊谷社長は同じ夜に「涙が止まりませんでした」と書き、被害者の情報を面白がって広める人には、はっきり怒っていました。
3つ目の懸賞金について、GMOは身代金でも情報の買い取り代金でもないと書き添えていますが、なぜ同じ額にしたのかの説明は、28日の昼までのお知らせには見当たらないままです。
2つ目も、本人が注目を欲しがっているのか、会社の考えを自分の口で届けようとしているのかは、外からは見分けがつかないところです。
1番被害者情報拡散してるのってこの社長だよね
涙が止まらないとポストした1時間前には
満面の笑みの画像を投稿したり常識では考えられない
アンビリーバボーな事が起きています— あおい みゆ (@japan_miyu_) 2026年10月28日
1つずつなら、どれも「言葉選びを間違えた」で済んだのかもしれません。
けれど、笑顔、刑事告訴、涙、爆笑が、同じ一晩のうちに、同じアカウントから続けて流れてきました。
それで、ほかの言葉では言い足りず、「サイコパス」とまで書く人が出てきたわけです。
4割を持つ創業者を誰が止めるのか
投稿が続くたびに、こんな声も増えていきました。
え?これ本物のアカウントですか?
え?だって公開された個人情報って
真偽不明な感じで
AIで適当に作ったのじゃない?って感じでしたよ?
こんな風に情報確定させたらダメでしょ
ポストするの誰か止めてあげてよ— ゆうたろう (@Gleou234) 2026年10月28日
ふつうの会社なら、トップの発信が会社の危機を大きくしかねないとき、広報や役員が「いまは控えてください」と止めに入るところでしょう。
熊谷社長は、自分の財産を管理する会社と個人の分を合わせて、GMOインターネットグループの株の4割あまりを持つ、いちばん大きな株主(筆頭株主)です(2026年7月の大量保有の報告書)。
役員を選ぶ株主総会でも、いちばん重い票を持っているのは社長自身で、そのうえ会長と社長とCEOを1人で兼ねています。
たとえるなら、家の持ち主で、家計の財布も握っているお父さんに、子どもが「その言い方はやめたほうがいいよ」と言えるかという話に近いかもしれません。
言えないことはないけれど、言ったあとのことを考えると、口をつぐむ人のほうが多いはずです。
止める人がいないので、社長が自分で打った言葉が、そのまま会社の言葉として世の中へ出ていってしまいます。
2007年は自分のビルで会社を守った
熊谷社長が会社の危機で自分から前に出るのは、今回が初めてではありません。
GMOは消費者金融のオリエント信販を買ったあと、払いすぎた利息を返してほしいという請求(過払い金の返還請求)が一気に増えて、2007年に事業から手を引いています。
大きな損を出し、借金が会社の持ち物を上回る「債務超過」の手前まで追いこまれたGMOは、2007年12月、新しく株を出してお金を集める増資で乗り切りました。
週刊東洋経済によると、その出資の大半は熊谷社長個人によるもので、それも現金ではなく、自分が持っていた六本木のビル2棟と西麻布のマンションを、そのまま会社に差し出したのだそうです。
今回、熊谷社長は、この攻撃について謝った10月25日のブログで「社会人人生の全てを賭ける覚悟」と書いていました。
2007年の熊谷社長はビルを差し出し、2026年の熊谷社長は自分の言葉を差し出しているわけです。
ビルなら黙って会社を支えてくれましたが、Xに書いた言葉は、ひとつ残らず世の中の人に読まれてしまいます。
ここまででGMOがやったこと一覧
・SNSポエム
・国への泣きつき
・PCの電源を切る
・ハッカーに開示請求
・ハッカーに懸賞金をかける
・インターポールに泣きつき全て他力本願で草
— ちかぽよ (@TIKAPOYO_5) 2026年10月28日
ハッカーの予告に備えて利用者にパソコンの電源を落とすよう頼んだことや、犯人への懸賞金まで並べて「他力本願で草」(草=ネットで「笑」の意味)と笑われる始末です。
社長の言う「覚悟」は、いまネットではそんなふうに受け取られているのでしょう。
3時間を超えた会見
11月2日の午後、GMOはこの問題で記者会見を開きました。
熊谷社長は冒頭で涙を浮かべて謝り、会見は3時間を超えています。
日本経済新聞によると、2024年4月には、グループの子会社がこのサービスの弱いところを報告していたのに、根本の手直しには至っていませんでした。
熊谷社長は、社内に報告の基準が整っておらず、自分には「報告されていなかった」と説明し、3か月のあいだ自分の月の報酬を30%減らすとしています。
事前に指摘されていたのに、なぜ防げなかったのか。その中身は、こちらの記事で追いかけました。
Xの投稿についても、記者から質問が出ました。
産経新聞によると、記者は「社長自身が上場企業であるGMOの経営リスクになっているのでは」と問いかけています。
熊谷社長は、笑顔の写真は犯人の要求に屈しないと牽制する意図だったと説明したうえで、「意図に反して炎上が起こり、ご迷惑をおかけした」と謝りました。
ITmedia NEWSによると、被害者の感情を刺激したことは「100%自分が悪い」と認め、家族に関わる投稿をリポストしたことも判断ミスだったと話したそうです。
会見を見ていて一番感じるのは、GMO 最大のセキュリティホールは熊谷さんじゃないかって話ですよ。
— 本田雅一 (@rokuzouhonda) 2026年11月2日
ところが、会見の中でも、また別の言葉が切り取られて広まりました。
報道で大きく伝えられたのは、次の3つの場面です。
- 同じ質問がくり返されると、同じ答えを2度するのは「皆様の命の砂時計を無駄遣い」するとして、別の質問を求めた
- 説明に立ったグループ会社の担当者に、「ちゃんとボタン閉めてください。あなた、お詫びをしているのにボタン開けてどうするんだ」と注意した
- 辞めるのかと問われて、「人生かけて笑顔にするツールにしてから死なせてください」と答えた
「命の砂時計」は、会見の途中でXのトレンドに入っています。
プロフィールの趣味に「笑顔を見ること」と書き、あの夜に自分の笑顔を載せた社長は、辞めるかどうかを聞かれた場面でも、やはり「笑顔」という言葉を選んでいました。
止めたのは本人だった
会見では、Xをこれからどうするのかにも答えています。
「犯人が動かなければ、私がソーシャルを使って犯人と戦う必要もないので、一定期間(SNSを)謹慎をさせていただく」(産経新聞)
会見のまとめを投稿してから休むとも話していましたが、11月3日の時点で、会見のあとの投稿は1本もありません。
GMOの会見、歴史に残る会見かもしれない。危機管理コンサルは少なくとも絶対にいない。熊谷代表の決意表明。少なくとも誰も止められないのはよくわかった。
— connect24h (@connect24h) 2026年11月2日
広報も役員も止められなかった投稿を、最後に止めたのは社長本人でした。
それも、会見で記者から発信を控えるべきではないかと指摘されてからのことです。
そして会見では、声が上へ届かないのはXのことだけではなかったことも見えてきました。
熊谷社長の説明どおりなら、下からの報告は社長まで届かず、社長の投稿は誰にも止められなかったという同じ形が、ひとつの会社の中で2度起きていたのです。
社長の投稿が燃えるたびに、話はGMOで働く人たちのことにも及んでいます。
俺が社員なら絶望する
無神経にも程があるよこの笑顔— barleria (@barleria) 2026年10月28日
社員を気の毒に思う声がある一方で、「このトップのもとで働くと決めているなら」と、同情をやめる人まで出てきました。
利用者のほうは、いまも答えを待っています。
FXの口座を勝手に動かされた男性は、10月25日にテレビ朝日系のニュースの取材に「(頭の中が)真っ白になりましたよね。180万ほど失った」と話していました。
攻撃者のサイトは10月28日の未明に止まったと報じられていて、2人目の個人情報が出たという報道は、11月3日の時点で見当たりません。
ただ、GMOは10月30日から見舞金の手続きについて契約者へ直接連絡を始めたものの、11月2日の会見でも、FXで出た損の総額は示されないままです。
自分の笑顔と言葉を誰よりも多く世の中へ出してきた社長が、いちばん出してはいけない夜にもそれをやめなかったことが、「承認欲求の塊」「サイコパス」とまで言われてしまういちばんの理由なのかもしれません。
やめると口にしたのは、それから6日後の会見で、記者に問われてからでした。











