三野宮鈴の薬物所持|関わる人を間違えたタレントの末路
2026年8月31日、高知地方裁判所で、ひとつの初公判が開かれました。
法廷に立ったのは、TikTokのフォロワーが22万人いる22歳のインフルエンサーです。
ABEMAの「今日、好きになりました」に出ていた三野宮鈴さん。
『ミスマガジン2022』で読者特別賞を受け、グラビアの仕事も続けていた人です。
問われているのは、麻薬のコカインとケタミンを持っていたという罪。
起訴された内容について、本人は「間違いありません」と答えました。
このニュースが流れたあと、ネットにはたくさんの言葉が並んでいます。
「そりゃそうなるやろ」という声もあれば、「関わる人を間違えた」という声もありました。
どちらの気持ちも、私にはよく分かります。
ただ、法廷で明らかになったことのなかには、そのどちらとも少しずれるものがありました。
逮捕されたときの彼女は、認めていなかったんです。
関わる人を間違えた、という言葉がどこまで本当なのか。
そこも含めて、ひとつずつ見ていきましょう。
高知市の路上で持っていたもの
まず、何が起きたのかを順番に並べてみます。
裁判で問われているのは、高知市の路上で違法な薬物を持っていたという事実です。
起訴された内容には、量まで書かれていました。
コカインを含む粉末が、約1.27グラム。
ケタミンの粉末が、約2.67グラム。
合わせても4グラムに届きません。
コーヒーに入れるスティックシュガーが1本で3グラムほどですから、それより少し多いくらいの粉だったことになります。
そして、これを一人で持っていたことにはなっていません。
当時交際していた28歳の男性と共謀して持っていた、という形での起訴でした。
相手のほうは別の日に審理が行われることになっています。
罪の名前は、麻薬及び向精神薬取締法違反。
ニュースでは「麻薬取締法違反」と短く書かれることが多い、あの罪名です。
売ったり配ったりする目的がなかったとしても、この罪は7年以下の拘禁刑と決まっています。
持っていたこと自体が、それだけの重さで扱われるということなのです。
報道の見出しには、決まってフォロワーの数が入っていました。
22.7万人という数字です。
その数字が先に目に入って、「誰だろう」と検索した方も多いのではないでしょうか。
/
TikTokフォロワー22.7万人、三野宮鈴被告(22)「交際していた共犯者とコカイン・MDMAを⋯」違法薬物を所持、初公判で起訴内容認める
\https://t.co/YiRz6H3WaZ#高知 #ニュース #テレビ高知 #KUTVニュース #KUTV #NEWSDIG— KUTVテレビ高知 (@kutv_tvkochi) 2026年8月31日
住まいは横浜市だと報じられています。
横浜に住んでいる人が、高知の路上で捕まった。
ここで一度、多くの人の頭に「なぜ?」が浮かんだはずです。
三野宮鈴さんはどんな人だったのか
名前を見て「誰だろう」と思った方のために、経歴のほうも並べておきます。
神奈川県横浜市の出身で、いま22歳です。
名前が広く知られたのは、2022年でした。
講談社のグラビアオーディション『ミスマガジン2022』で、読者特別賞を受けています。
当時はまだ高校3年生。
学校に通いながらSNSで発信していた、いわゆる女子高生インフルエンサーとして紹介されていました。
そこからの数年は、はた目にはとても順調です。
ヤングマガジン系のグラビアに登場し、ミスマガジンの企画で作られた映画にも出ています。
デジタル写真集では、同期の受賞者たちと並んで名前が載っていました。
そして、ABEMAの恋愛リアリティ番組『今日、好きになりました。』への出演。
「今日好き」と略されるあの番組です。
報道でも紹介の枕として使われているとおり、いまいちばん名前が通っているのはここだと思います。
グラビアの人という顔と、SNSで面白いことをやっている人という顔。
この二つを両方持っていたのが、この人の特徴でした。
並べてみて、私が引っかかったのは年齢のほうです。
18歳で賞を取って、22歳で法廷に立っているという4年間。
そのあいだは、たった4年です。
なぜ横浜の人が高知にいたのか
結論から言うと、高知だった理由は、いまのところ表に出ていません。
仕事だったのか、遊びだったのか、誰かに会いに行ったのか。
そこは報じられていないので、分からないままです。
ただ、法廷ではひとつだけ、場所の分かる話が出ていました。
検察官が読み上げた動画の舞台が、兵庫県淡路市の喫茶店だったのです。
高知ではありません。
淡路島は、本州から橋を渡ってすぐの島です。
その島をさらに南へ抜けると、橋の先はもう四国になります。
そこから西へ走れば、徳島を通って高知へ出られる道すじです。
もちろん、これは地図の上の話でしかありません。
けれど、法廷で読み上げられた動画が「旅先で交わされたやり取り」と説明されていたのは確かです。
ひとつの街にとどまっていたのではなく、移動しながらの日々だったことは見えてきます。
薬物の事件で、よく言われる話があるんです。
捕まる場所は、その人の生活の場所とはかぎらないという話。
持ったまま移動していれば、たまたま声をかけられた土地で事件になる。
今回の高知も、そういう一日だったのかもしれません。
ちなみに、初公判が開かれたのが高知地裁だったのも同じ理由です。
裁判は、事件が起きた場所を受け持つ裁判所で開かれます。
横浜に住んでいても、高知で問われた罪は高知で裁かれるということですね。
使ったことのほうは罪に問われていません
ここで、ひとつ整理させてください。
いま出回っている見出しの多くは「コカインの共同所持を認めた、自分でも複数回使っていた」という形になっています。
そう読むと、使ったことまで含めて裁かれているように見えますよね。
ところが、起訴されている中身は持っていたことだけなのです。
まず「共同所持」のほうから。
ふつうに読むと、二人で分け合って持っていた、という意味に取れます。
でも法律でいう所持は、もう少し違うところを見ているのです。
その薬物を、自分の意思でどうにでもできる状態にあったかどうか。
そこが軸になります。
だから、薬物が入っていたのが相手のポーチで、自分は一度も触っていなかったとしても、二人で使うつもりで一緒に動いていたのなら、二人とも持っていたことになるわけです。
「私のじゃないから関係ない」は、この罪の前ではあまり通りません。
そのうえで、法廷に出た材料のほうを並べてみます。
押収された三野宮さんの財布と、クレジットカード。
そこからは、コカインとMDMAの成分が出たと説明されました。
喫茶店で吸っている場面の会話も、検察官が読み上げています。
それでも、起訴された内容に書かれているのはコカインとケタミンを持っていたことだけなのです。
財布から出たMDMAも、動画に残っていた吸う場面も、起訴状には書かれていません。
使うこと自体が許されているわけでは、もちろんありません。
持っていても、使っても、人に渡しても、営利目的でなければ同じ7年以下の拘禁刑と定められています。
それなのに今回は、使ったほうでは起訴されていないのです。
法廷に出てくる材料と、罪に問われている中身は、イコールではありません。
ニュースの見出しだけを追っていると、この二つはどうしても混ざって見えてしまいますよね。
交際相手をめぐって言われていること
ここからが、たぶん多くの人がいちばん知りたいところだと思います。
一緒に起訴された、当時の交際相手のことです。
報じられている範囲で言うと、相手は28歳の男性。
同じくSNSで発信していた人で、「白目でキマる」動画を配信していたと紹介されています。
そして、その配信が事件の入口になりました。
SNSで薬物をやっているような動画を見た、という通報が入って発覚したと報じられています。
先に麻薬のケタミン所持で捕まったのが相手のほうで、その流れのなかで三野宮さんもコカインで逮捕されました。
ここまでが、確認できている事実です。
ここから先は、ネットで言われている話になります。
いちばん多いのは「なんでこんな人と付き合ったのか」という声でした。
「変人好みなんだろう」と書いている人もいます。
ただ、この二人がいつどこで知り合ったのかは、はっきり報じられていません。
渋谷のクラブによく出入りしていたと聞く、という関係者の話が出ているくらい。
だから、なぜその人だったのかを本当のところで語れる人は、外側には誰もいないはずです。
そのうえで、ひとつだけ考えておきたいことがあります。
この人のいちばん大きな居場所が、事務所でも現場でもなくSNSの側にあったということです。
18歳、高校3年生。
賞をもらって、いきなり大人の仕事場。
周りにいるのは年上ばかり。
ここまでは、この世界に入った若い子がだいたい通る道なのだと思います。
違ったのは、その先でした。
誰と会うか、誰と遊ぶかを、大人が横から止めにくい場所にいたのです。
数字がある人のところには、いろんな人が寄ってきます。
そのなかに、どういう人がまざっているのか。
フォロワーの数は、そこまでは教えてくれません。
だから「関わる人を間違えた」という言い方を、私はそんなに外していないと思っています。
ただし間違えたのは相手選びだけではなく、そこに一人で立っていたことのほうかもしれません。
逮捕のときは認めていませんでした
ここが、私がいちばん引っかかったところです。
初公判を傍聴した裁判ライターのレポートによると、逮捕のときの三野宮さんは容疑を否認していたとされています。
そのうえで、法廷では「間違いありません」と認めました。
ニュースの下では、この事件はこう読まれています。
【悲報】そりゃそうなる…TikTokフォロワー22.7万人、三野宮鈴被告(22)「交際していた共犯者とコカイン・MDMAを⋯」違法薬物を所持、初公判で起訴内容認める
そりゃそうなるやろ!!
こんだけどうどうとライブ配信してたら pic.twitter.com/XETFyoOST4— サナエトしんじろう (@24chokemaru) 2026年8月31日
言いたくなる気持ちは、私にも分かります。
実際、当時の交際相手は配信で白目をむいている姿を出していて、その動画がきっかけで通報が入ったと報じられていました。
あとから見れば、たしかに全部そこにあったように見えます。
ただ、「そりゃそうなる」と読める人は、事件になったあとの私たちだけです。
配信を見ていた当時、あれを「異変」だと思って見ていた人はほとんどいませんでした。
面白い人たちが、面白いことをやっているだけ。
そう見えるように作られていたのが、あの配信だったからです。
そして本人も、たぶん似たところにいたのだと思います。
捕まった時点では「自分は違う」と言っていた人が、法廷では認めている状態です。
そのあいだに何があったのかは、どこにも書かれていません。
ただ、順番としてはこうです。
否認から、認める側へ動いた。
これは、悪いほうへ転がった話ではないと私は思っています。
喫茶店で差し出されたカード
法廷では、相手のスマートフォンに残っていた動画が読み上げられました。
場所は、さきほどの淡路市の喫茶店です。
報じられているやり取りは、驚くほど短いものでした。
相手が「吸う?」と聞く。
三野宮さんが「吸う」と答える。
そのあとに続いたのは、ゲームセンターに行ってからにしようかな、という言葉でした。
相手が「これ、粉々にできない?」と言うと、彼女は自分のクレジットカードを差し出しています。
この場面をどう読むかで、記事はだいぶ変わってくるはずです。
「本人も乗り気だったじゃないか」と書くこともできます。
でも私が引っかかったのは、この会話がまったく特別に見えないことのほうでした。
喫茶店で、旅の途中で、ゲームセンターの予定を話しながら。
買い物の相談みたいな調子で、その言葉が出てきました。
薬物の怖さは、たぶんここにあります。
大きな決断として現れないのです。
最初の一回はどこかに緊張があったはずなのに、だんだんふつうのことになっていく。
二回目からは、その日の予定を決めるくらいの軽さになる。
そこまで来ると、もう自分では線が引けません。
やったことは、はっきり間違っています。
けれど「とんでもない人だからやった」のではなく、ふつうの一日の続きとしてそこにあった。
読み上げられた会話は、そのことを伝えていたように読めました。
かばいたくなる気持ちのほうが自然です
ここで、もう一度この声に戻ります。
三野宮鈴面白いから好きだったけど関わる人間を間違えてる
と言うか変人好みなんだろうなやつは— まんちき (@manchiki18267) 2026年9月1日
好きだった人が、こうなってしまった。
それでも嫌いになりきれないから、原因を本人の外に置きたくなる。
この気持ちを、私は責める気になれません。
むしろ、そう思えるほうが人として自然だと思います。
惜しむ声も、たくさんありました。
三野宮鈴さん・・・
将来有望なタレントさんになるかもと思っていたのに・・・。超えてはいけないラインを超えてしまったなぁ。また、表舞台で活動してほしいけど・・・ https://t.co/9dVaIfUSHJ
— 含み益は幻 (@HNQHokN1JeeFzJw) 2026年9月2日
超えてはいけないラインを超えた、と書きながら、また出てきてほしいとも書いてあります。
この二つが同じ一つの言葉のなかに入っているのを見て、私はほっとしました。
ここで整理しておきたいことがあります。
「彼氏が悪い」と言い切ってしまうのも、じつは本人の意思を消してしまう言い方です。
差し出されたカードは、彼女が自分で出したものでした。
けれど反対に、「自業自得だ」で終わらせると、何も残りません。
誰と過ごすかで生活の当たり前が変わっていくことは、薬物にかぎった話ではないからです。
やったことは本人のもの。
そこへ至る道は、一人では作れないもの。
この二つは、たぶん両方とも本当のことです。
そして今回の裁判で問われているのは前者だけで、後者は誰も裁いてくれません。
傍聴席は半分も埋まりませんでした
最後に、法廷そのものの話をさせてください。
高知地裁は、高知城のすぐ隣にあります。
人通りの多い場所です。
当日は、フォロワー22万人という数字を見た裁判所が職員を法廷内に配置し、人が押し寄せる前提の体制をとっていたと伝えられています。
ところが、48席の傍聴席は半分も埋まりませんでした。
身柄は拘束されておらず、弁護士と一緒に入ってきたそうです。
黒いスーツに白いシャツ。
長い黒髪を後ろで結び、大きな白いマスクをつけていて、表情までは読み取れなかったと書かれていました。
生年月日や住所を確認する手続きも、本人のプライバシーへの配慮からか、読み上げが省かれています。
この光景を知って、こう書いていた方がいました。
こうやってフォロワーの数とか出すから
フォロワーが多ければ優れた人物ってイメージ与えるんだろTikTokフォロワー22.7万人、三野宮鈴被告(22)「交際していた共犯者とコカイン・MDMAを⋯」違法薬物を所持、初公判で起訴内容認める(テレビ高知) https://t.co/0oQjuUoa89
— 梵極道a.k.a大麻王 (@kiwamemiti2) 2026年8月31日
この指摘は、当たっていると思います。
見出しの22.7万人は、画面の向こうの数字です。
法廷に来たのは、その数字ではありませんでした。
今後については、まだ何も決まっていません。
判決は別の日に言い渡されますし、共犯とされる元交際相手の審理もこれからです。
ただ、薬物の事件では、初めての裁判で持っていた量も少なければ、執行猶予がつくことが多いと言われています。
反対に、常習的だと見られたり量が多かったりすると、実刑になる例も少なくないそうです。
持っていた量、初めての裁判であること、罪を認めていること。
そのあたりが、どう見られるのかを待つ段階です。
ひとつだけ、書いておきたいことがあります。
彼女はまだ22歳です。
これまで生きてきた時間より、これから先の時間のほうがずっと長い年齢ですよね。
その長いほうを、まだ数えていたい人が、あれだけいたということでもあります。
「また表舞台で」と書いた人は、たぶんずっと迷いながら打ったはずです。
やったことは、間違っています。
それでも、その人がやり直すところを見たいと思う気持ちのほうは、間違っていませんよ。










