2026年10月14日、ジブリの名作を舞台にした『千と千尋の神隠し』のワールドツアーで、乃木坂46の井上和が千尋役のひとりに選ばれたと発表されました。

台北から始まり、東京の明治座、そしてトロント、ロサンゼルス、ロンドンまで回る大きな舞台で、自分でオーディションを受けて勝ち取った役です。

大河ドラマに映画の吹き替え、そして世界を回る舞台と、ファンはこの1年の仕事ぶりを誇らしく語り合っています。

一方で、ほかのメンバーを応援している人や、乃木坂46を追っていない人からは、「最近ゴリ押しすぎでは」「乃木坂の看板で受かったのでは」という声も上がっています。

大河ドラマ『豊臣兄弟!』で演じている茶々についても、演技はうまいのか、下手なのかで、ちょうど意見が割れたばかりでした。

 

本当にゴリ押しなのか。千尋役のオーディションで本人が明かした面接の中身は、看板の話とはだいぶ違っていました。

千尋役7人のひとりに井上和

舞台『千と千尋の神隠し』は、宮﨑駿監督の映画を、イギリスの演出家ジョン・ケアードが舞台にした作品で、2022年に東京の帝国劇場で初めて上演されました。

音楽は映画と同じ久石譲で、ロンドンや上海、ソウルでも上演され、海外でも評判を呼んできた舞台です。

今回発表されたのは、1年半以上かけて国内と海外の9つの都市を回るワールドツアーです。

  • 台北・国家戯劇院 2026年12月〜2027年1月
  • 東京・明治座 2027年3〜5月
  • 愛知・大阪・福岡・札幌 2027年6〜8月
  • トロント 2027年5〜8月
  • ロサンゼルス 2027年9〜10月
  • ロンドン 2028年3〜7月

 

国内と海外で時期が重なる公演もあるため、千尋役は7人で分け合います。

  • 橋本環奈、上白石萌音=2022年の初演から
  • 福地桃子=2024年から
  • 森莉那=海外公演の代役から千尋役へ
  • 井上和、豊嶋花、平澤宏々路=今回のオーディションで新しく選ばれた3人

明治座の公演では、7人全員が日替わりで千尋を演じることになっています。

ファンが誇らしく思っているのは、この役も、茶々も、映画の声の仕事も、自分の力でつかみ取ってきたことなんです。

本人は発表のコメントで、千尋として生きられることを「夢のよう」と話す一方、初演から先輩たちが積み上げてきた舞台に加わることへの強い緊張と不安も口にしていました。

井上和のプロフィールと経歴

乃木坂46 井上和
引用元:井上 和 | 乃木坂46公式サイト
  • 名前=井上和(いのうえ なぎ)
  • 生年月日=2005年2月17日
  • 出身=神奈川県
  • 身長=158cm
  • 所属=乃木坂46(5期生・2022年加入)
  • シングルの表題曲(CDの看板になる曲)のセンター=「おひとりさま天国」「チートデイ」「ネーブルオレンジ」の3曲(「ネーブルオレンジ」は中西アルノと2人)
  • そのほか=ファッション誌『non-no』専属モデル、『乃木坂46のオールナイトニッポン』パーソナリティ

2025年4月に出した1冊目の写真集『モノローグ』は、発売直後からオリコンの写真集ランキングで1位が続き、その年の年間ランキングでも写真集の部門で1位になりました。

お芝居の仕事は、2023年からの3年ほどで一気に増えています。

  • 2023年 配信ドラマ『古書堂ものがたり』(5期生全員が出演するオムニバス)
  • 2024年4月 5期生のミュージカル『美少女戦士セーラームーン』で月野うさぎ役
  • 2025年3月 テレビ朝日のドラマ『スプリング!』で地上波ドラマ初出演・初主演
  • 2025年4月 NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』の茶々役に決まる(オーディション)
  • 2026年8月9日 『豊臣兄弟!』第30回で、成長した茶々として初登場
  • 2026年 映画『トイ・ストーリー5』でスナッピーの声、アニメ映画『GROTESQQQUE』に声で出演
  • 2026年10月14日 舞台『千と千尋の神隠し』の千尋役に決まる

メンバーと一緒に立ったミュージカルはありますが、グループの外の舞台は、千尋が初めてなんです。

グループの外の仕事がこれだけ続くと、忙しさを先輩の生田絵梨花と比べるファンもいるほどです。

加入1年半で表題曲センター

「ゴリ押し」と言われるようになった始まりは、加入からわずか1年半ほどで表題曲のセンターに立ったときまでさかのぼります。

2022年2月に5期生として加わると、翌月には5期生だけで歌う「絶望の一秒前」で真ん中に立ち、2023年8月の「おひとりさま天国」でシングルの表題曲のセンターを任されました。

2026年にはアイドルの大きなフェス「TIF」のチェアマンも任され、グループの外の肩書きはいまも増える一方。

 

ほかのメンバーを長く応援してきた人からは、運営の推し方に首をかしげる声も出ています。

「かきさく」は、井上和たち5期生より先輩の4期生で、グループの中心に立ってきた賀喜遥香と遠藤さくらのことです。

こういう声を上げている人が文句を言いたい相手は、井上和本人というより、仕事を割り振っている運営なんですよね。

大河も千尋もオーディション

大河ドラマの茶々役は、1,600人を超える応募があったオーディションで選ばれ、番組のプロデューサーは決め手を「年齢以上の落ち着きと妖艶さ」と話しています。

千尋役も、演出のジョン・ケアードが自分で開いたオーディションで決まりました。

グループの中では、2025年3月の「ネーブルオレンジ」を最後に表題曲のセンターから離れていて、2026年6月に発表された42枚目のシングルでは2列目に立っています。

この2つを並べて、ファンは「ゴリ押しではない」と言い切っています。

少なくとも、茶々も千尋も、乃木坂46の外の人が選んだ役なんです。

面接で聞かれたのは乃木坂の4年間

それでも、「乃木坂の看板があったから受かったのでは」と疑っている人は、まだいるんですよね。

千尋役のオーディションで演出のジョン・ケアードと話した中身の6、7割は乃木坂46での活動についてだったと、井上和本人が明かしています。

「歌って踊ることが大好き」と伝えると、その場で乃木坂46の曲「Same numbers」を歌ってほしいと頼まれたそうです。

 

同じオーディションで選ばれた豊嶋花は子どもらしさを無理に演じなくていいと言われ、平澤宏々路は遠くの客席まで声を届けるよう助言を受けたそうです。

千尋の舞台は、映画を見て育った人や、ふだん劇場に通わない人も見にくる作品です。

演出家はきっと、その人のままで千尋に見えるか、声が劇場のいちばん後ろの席まで届くか、というところを確かめていたのでしょう。

そう考えると、面接の話題の大半が、4年あまり大きなステージで歌って踊り、大勢の観客の前に立ってきた経験だったのも、うなずけます。

茶々の目つきに集まった評価

映画やドラマの情報サイト「リアルサウンド」に載った記事は、茶々の登場について「何よりもその目だ」と書き、視線を少し動かすだけで茶々の警戒心や苛立ちが伝わってくると評価しています。

回を重ねるうちに、相手の言葉を一度受け止めてから揺れる表情まで見せるようになり、第38回では、それまで頑なだった茶々が秀吉に一瞬だけ見せた笑顔が妙に心に残る、とも書いています。

 

弓を射る場面では、矢をつがえて的を見据える所作に、高校の弓道部で身につけたものが生きていました。

大げさな身ぶりに頼らずに、目の動きと間で見せていく芝居が、井上和が演じる茶々の持ち味なんです。

宮﨑あおいが演じるお市の方との最後の場面では、その芝居に圧倒されて自然と涙が出た、と本人も話しています。

第39回で噴き出した「下手」の声

2026年10月11日に放送された第39回のあと、茶々の芝居を厳しく言う人がいちばん多く出てきました。

茶々が秀吉の側室になることを受け入れていく回で、翌日には「茶々の演技が下手すぎる」「大河に乃木坂は不要」という投稿が広く出回っています。

 

ただ、同じ回を見て、こう書いた人もいます。

話の流れへのモヤモヤを、いちばん目立つ茶々の芝居にまとめてぶつけた人もいたのでしょう。

「棒読み」といった強い言葉を書き込んでいるのも、主に掲示板やまとめサイトの人たちです。

厳しいことを書いている人の多くが引っかかっているのは、芝居の中身より、大河に乃木坂のメンバーがいることそのものなのです。

橋本環奈も初舞台は千尋だった

初代の千尋のひとり、上白石萌音は、ミュージカルの経験を重ね、演劇の大きな賞である読売演劇大賞の最優秀女優賞を史上最年少で受けた人です。

一方、もうひとりの初代千尋の橋本環奈は、2022年のこの『千と千尋の神隠し』が、初めて立った舞台でした。

今回いっしょに選ばれた豊嶋花も、子役のころから多くの作品に出てきた人ですが、舞台はこれが初めて。

7人が日替わりとなると、ファンにとってはどの日のチケットを取るかも悩みどころです。

途中を知らない人には急に出てきた人

井上和を応援してきた人は、センターの曲も、セーラームーンのうさぎ役も、初主演のドラマも、茶々も、ひとつずつ見届けてきました。

だからこそ、ファンには、千尋役は一つずつ仕事を積み重ねてきた先にやっとつかんだ役に見えます。

一方、乃木坂46を追っていない人に届くのは、「大抜擢」「主演」「世界ツアー」というニュースの見出しと、大河に突然現れた茶々の姿くらい。

 

途中を知らずに結果だけが次々と目に入れば、急に前へ出てきたように見えてしまいます。

一緒に選ばれた豊嶋花と平澤宏々路のことを、ゴリ押しだと言っている人は、ほとんどいません。

同じオーディションを通っても、乃木坂46という大きな名前を背負っているぶん、井上和だけが「押し上げられた」ように見えてしまうのです。

ワールドツアーと乃木坂の両立

ファンは、喜ぶのと同じくらい、乃木坂46の活動との両立のことも気にしています。

7人のうち誰がどの都市に出るのかは、明治座のほかはまだ発表されておらず、井上和が海外の公演にどこまで加わるのかも分かっていません。

乃木坂46では、久保史緒里がグループにいながら2023年の大河『どうする家康』に出演し、生田絵梨花もグループの活動と大きなミュージカルを両立させてきました。

井上和自身も、茶々に決まったときには、大河に出た久保史緒里の姿を見て、いつか自分もと思っていたと話しています。

途中を見てこなかった人にはゴリ押しに見えても、見てきたファンにとって千尋は、自分で取りに行ってつかんだ役なんですよね。